でも、発達障害の知識をつければ支援のバリエーションが増えるので、AがダメでもBもある、Cもあると、攻め手が増えるんです。

――こういう取材を申し込んでおいて恐縮ですが、“発達障害のお子さんが受験2か月前にチャレンジして麻布に合格”といったような、ある種の成功譚として報道されることに危惧はありますか。

赤平 すごくありますね。記事をご覧になった方から「たった2か月の勉強で麻布に受かるのはすごいですね」と誤解されたり、「赤平さんの息子さんは高IQだから良かったけど、うちの子は違うから」という意見をいただくことがあります。

麻布中学に合格したのは“天才”ではなく“努力”の積み重ね

 お話しした通り、勉強自体は2か月前に突然はじめたわけではなくて、小学校1年生のときからずっと、他のお子さんよりも苦労しながらやっていたんです。病院や習い事の5~10分のスキマ時間でも勉強できるように、息子はいつもプリントとバインダーを持ち歩いていました。だから天才なわけでもなく、彼の努力の積み重ねでたどり着いた麻布中学でした。

 私もメディアにいた人間ですから、キャッチーなタイトルをつけたくなる気持ちもわかります(笑)。私自身、メディアに取り上げられやすい肩書であることを分かった上で、発達障害の問題を少しでも取り上げてほしいと思い、インタビューでお話しさせていただいています。でも実は、「本当に正しい方法なのか?」といつも悩んでいます。

 

毎日睡眠時間は3、4時間…蕁麻疹や血尿が出ることも

――親子二人三脚での歩みを感じますが、赤平さんはどうやって仕事と子育ての両立をしているのでしょう。

赤平 僕はフリーランスなので、まず息子の生活に合わせて自分の予定を組むんです。所属している芸能事務所には「F字」ってよく言っていましたけど。月~金の朝夕は息子の学校への送り迎えや習い事があるので2本NGの線が走っていて、土日は朝から夕方まで習い事があるので縦に1本、NGの線が走っている。その「F字」の隙間に、仕事を組み込む感じです。もちろん受けられる仕事は減りますので、収入に影響します。サラリーマンではないので大きなリスクです。

2023.12.04(月)