何をどうすれば、ジブリを後継したことになるのか

 そのスタジオジブリは先般9月21日に会見を開き、日本テレビの子会社となることを発表した。大きい資本のもとで経営面の安定を図るねらいがあるとのこと。会見では鈴木敏夫プロデューサーが後継者問題にも触れ、以前から宮崎吾朗が候補に挙がっていたものの話がまとまらなかったことも、子会社化へ至る要因になったと述べた。名前が取り沙汰された当人は、この動きをどう受け止めているか。

「報道の通り、後継者となることは固辞しました。映画をつくるという面だけでもなかなか追いつけないというのに、さらに経営的なところまでやってくれと水を向けられてもそれは無理です。自分が何人いたって足りやしない、さすがに引き受けられないとはっきり言いました。

 そもそも僕には、スタジオジブリに後継者が存在し得るのか、はなはだ疑問でした。どうすれば、何をすれば、ジブリを後継したことになるのか……。

 少なくとも現時点で、宮﨑駿はまだまだ創作意欲に満ちていて、現役を退く様子はありません。宮﨑駿がやるということは、コンビを組んできた鈴木敏夫もプロデューサーを続けるということです。ジブリをつくった2人が『まだやる』と言っているのですから、いまのところ後継への具体的な動きはありません」

 

子会社化してもやることは何も変わらない

「そもそも彼らには、自分を継がせるつもりなどハナからないんじゃないか。宮﨑も鈴木も、たまに引退したいなどと口にしつつも、本心ではずっと『ジブリはオレのものだ』と思っているんです。人に渡したり、継がせたりするつもりはさらさらなさそうに見える。

 だからこちらとしては、どうぞやれるところまでやってください、最後まで付き合いますからとしか言いようがありません。

 今回の子会社化の動きも、後継のかたちを決めたというよりは、『オレたちはまだまだやるが、年齢のこともあり若干の不安があるので、後ろで支えてくれる存在を見つけてきた』ということだと僕は理解しています。

2023.11.16(木)
文=山内宏泰