刑務所や強制労働収容所を建造し、先住民男性を収容

 大陸と陸続きだった頃、ロットネスト島は先住民アボリジナルの人々にとって儀式に使う特別な場所でした。それが1800年代に西欧人がやってくるようになり、のちに刑務所や強制労働収容所を建造。先住民の男性(子供も含めて)を島に送って収容したのです。

 ひどい迫害を受けた男性たちは、病気や過労で命を落とすことも……。家族や恋人と引き離され、大陸に残された女性たちの心情も、察するに余りあります。1904年に刑務所は閉鎖されましたが、建物や先住民の墓地は今も島に残っています。

 また、「ハイク・コレクティブ」のガイドハイキングでは、島の南部海岸線の雄大な景色もさることながら、第二次世界大戦の戦跡もハイライトになっています。

 西オーストラリア州の沿岸防衛の拠点であったロットネスト島には軍事施設が建設されたため、今でも朽ちたビックリー砲台やフリーマントル要塞などが残されています。

 愛らしいクオッカとステキなリゾートに癒され、アクティビティに興じつつも、時に忘れてはならない歴史を心に刻み……。ロットネスト島を楽しむには2泊以上はしたいところです。

ロットネスト島

●アクセス パースからフェリーで約40分。フリーマントル、ヒラリーズからもフェリーあり。
●おすすめステイ先 サムファイア・ロットネスト
https://samphirerottnest.com.au/

【取材協力】

オーストラリア政府観光局 https://www.australia.com/ja-jp
西オーストラリア州政府観光局 https://www.westernaustralia.com/

古関千恵子(こせき ちえこ)

リゾートやダイビング、エコなど海にまつわる出来事にフォーカスしたビーチライター。“仕事でビーチへ、締め切り明けもビーチへ”をループすること30年あまり。
●オフィシャルサイト https://www.chieko-koseki.com/

Column

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一口でビーチと言っても、タイプはさまざま。この広い世界に同じ風景は一つとして存在しないし、何と言っても地球の7割は海。つまり、その数は無尽蔵ってこと? 今まで津々浦々の海岸を訪れてきたビーチライター・古関千恵子さんが、至福のビーチを厳選してご紹介します!

2023.11.18(土)
文・撮影=古関千恵子