海沿いに建つ住宅を見るたびに「部屋から釣りができそうだな」とついつい子供のような妄想を膨らませてしまう。そんな憧れを叶えてくれる宿が三重県鳥羽市にあるという。部屋から釣りができ、さらに、釣った魚を夕食で提供までしてくれる……。今回はまさに釣り人にとって夢のような宿「海楽園」を紹介する。

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海上料亭「海楽園」で2泊3日の釣り旅

 釣具を一式携えて千葉県から6時間車を走らせた。

 砂浜が延々と続く伊勢湾を抜けると、海の様子も変わり、岬と入り江が入り組んだリアス式海岸の片鱗を見せつけてくる。体力が底をつきそうな長距離ドライブを経て、三重県鳥羽市に到着。今回お世話になる「海楽園」はリアス式海岸の入り口にあたる穏やかな鳥羽湾の湾奥に位置し、港町に溶け込んだ古風な佇まいで我々を迎えてくれた。

 入館してまず驚いたのは壁一面に張られた魚拓。アジやメバルなどのファミリーフィッシングの定番魚からキジハタやクロダイ、ヒラメなどの大型魚まで、宿泊者の功績が旅館中に掲げられていた。強制的にやる気スイッチを押された気分で俄然釣り欲が湧きたつ。

 なお、釣り初心者の方向けのレンタルタックルも用意されている。ロビーを見渡すだけで生粋の釣り宿と認識するには十分すぎる要素が揃っていた。

 心を躍らせながらチェックインを済ませて客室へと向かう。

客室から釣りができる天国のようなプライベート空間

 今回予約したお部屋は1階の和室。シンプルで落ち着きのある空間だが、奥に目をやると一面ガラス張りで鳥羽湾が見渡せる絶景が広がっている。

 窓を開けると、さらに海が近くに感じられるが、それもそのはず。部屋が海に張り出した造りになっており、まるで海上にいるかのような錯覚を覚えるほどだ。たとえ釣り目的ではなくても、この開放感を味わうために1階客室を選択する価値が存分にある!

 さらに足元は大きな岩の漁礁が積まれているため根魚が豊富らしく、魚拓を見ても釣り部屋からの釣果が際立っていた。ただし、干満差の大きな潮回りの干潮前後は釣りにくくなるため、釣り桟橋に移動するのが望ましい。今回のプランとしては明るい時間帯は桟橋で釣りをして、警戒心の弱まる夜に部屋から釣りをすると決めた。

2023.11.09(木)
文=ぬこまた釣査団(大西)