定刻まで釣ったアジを泳がせ大物も狙ったがタイムアップ。最終的にフロントへ持ち込んだ魚はアジ、カマス、サバ、メッキ、キス、アオリイカの6魚種となった。

 今回の主役は間違いなく同行者が釣ったアオリイカだろう。狙いの魚をほとんど釣ることができなかったが、なんとかかき集めた食材でどんな料理ができるのか。料理長に全てを託した。

 

夕食のすき焼きに豪華な魚料理を追加して“優勝”

 夕食はルームサービスで提供されるので、自室でくつろぎながらいただける。基本メニューは地魚のお刺身とすき焼き、そして伊勢海老の焼き物。そして、ここに釣魚が追加される。とても二人前とは思えないお料理が並べられる。先ずはすき焼きから。

 お肉は柔らかく、溶けだした脂からは甘みが感じられる。牛肉は赤身を選びがちな年齢にさしかかっているが、改めて脂の美味しさを実感した。

 伊勢海老の焼き物は噛むほどに凝縮した旨味が口に広がる。海老料理はやはり旨味と香りを外に逃がさない焼き物が一番好みだ。続いていただくのが、同行者が釣ったアオリイカ。

 釣って間もないためまだ透明感が残っている。身はシャキッと歯ごたえがあり新鮮さが食感から伝わる。スーパーの鮮魚コーナーでは味わえない釣り人の特権でもある。そしてアオリイカの特徴は何と言っても身の甘さ。咀嚼するほど、まろやかな甘さと旨味が口に広がり、飲み込むタイミングを失ってしまう。本来であればアオリイカの姿造りは料理の追加オプションでもおかしくない高級素材である。それが自身の釣果次第で無料でいただけるというのは、釣り宿ならではの魅力だ(釣ったのは私ではないが……)。

 そしてアジは煮付け、キスやサバ、メッキは塩焼きに。天ぷらでいただきたい気持ちもあったがキスの塩焼きは香ばしく身が引き締まっていてお酒のあてに最適だった。

 狙いの大物が釣れなかっただけに、釣果に物足りなさを感じていたが、料理になってみればこれ以上食べられないほど満腹で結果大満足の内容であった。

海楽園はまさに釣り人の楽園!

 周りに水族館などの観光地が多いにもかかわらず、全日程を宿内で過ごしてしまうほど魅力的な宿だった。

 家族連れのお客さんも多く、手軽に子供と釣りを楽しむいい機会にもなる。まだまだ秋の釣り日和は続くので、休日の観光先に鳥羽の海楽園を選んでみてはどうだろうか。

2023.11.09(木)
文=ぬこまた釣査団(大西)