この記事の連載
馬田さん流! 失敗しないうつわの集め方
![とくに手触りが気に入って即買いを決めた岩切秀央さんのうつわとぐい飲み。](https://crea.ismcdn.jp/mwimgs/2/2/-/img_22666b24b5fb86ef1e3cea541881b1da86717.jpg)
手ざわりの良さもうつわ選びでは大事にしています。岩切秀央さんという作家さんの小鉢とぐい飲み、手に持った感じが最高にいいんです。なんていうか、うつわそのものに温かみがあって、実際に触るとやさしいぬくもりのある質感なんですね。口当たりもやわらか。ぐい呑みはお茶やお酒を飲んだりするほかにも、ソースや薬味を盛り付けたりします。あと、ナッツや柿の種をつまみに食べるときにも愛用しています。小ぶりなので食べ過ぎが防げる(笑)。
小鉢は内径とカーブの具合が意外にも納豆と薬味を混ぜる器に最適。あとは白和えや野菜の和えものなど小さなおかずや、ときどきごはんも盛ってます。ごはん茶碗って持ちながら食べるものだから、特に手ざわりやサイズ感は大事ですね。柳橋にある「白日」というギャラリーで見つけて、見た目も含めてひと目惚れしました。
![タコや妖怪のような絵がたのしい「てつ工房」のうつわたち。生活のいい彩りに。](https://crea.ismcdn.jp/mwimgs/e/4/-/img_e4229b77711382a58c7ae35d79cb46d0138048.jpg)
ひと目惚れといえば、先日購入したお皿が楽しいんです。日常ではトーンのない、無地のお皿を使うことが多いんですが、長崎「てつ工房」のお皿はいわゆるスリップウェアの技法を使ったもので、作家の小島鉄平さんの手描きのイラストが面白いでしょう? 遊び心があって、生活のアクセントに取り入れたくなりました。刺身醤油や餃子のタレを入れる取り皿として、あるいは小さい揚げものや煎り銀杏なんかをのせるのにも使っています。おまんじゅうや和菓子にも合いますね。
![奥は「盛りやすくてサマになる、しかも食洗機OKという神皿」山根窯・石原幸二さん、手前は「何を盛ってもカッコよく見せてくれる」という山田洋次さんの大皿、径25㎝。](https://crea.ismcdn.jp/mwimgs/6/e/-/img_6e559bf73947d84edc102dc70b6bec69137314.jpg)
お皿の集め方としては、自分のよく作る料理に適したお皿を考えて選びつつ、たまには直感で「欲しい!」と思ったものを加えていく感じですかね。
![うつわそれぞれに「体温」が感じられるものばかり、馬田さんのコレクション。](https://crea.ismcdn.jp/mwimgs/a/7/-/img_a7518f12ad6ce5662d2a2a8e537e4af7115448.jpg)
私、普段の食事は皿数が少ないんですよ。一汁一菜派(笑)。メインのおかずに焼き野菜やサラダを添えたり、あるいはチャーハンや焼きそばなどを作って大皿に盛って、あとは汁もの用のうつわが必要なぐらい。あるいはパスタ一品とスープで完結とか。料理教室やホームパーティではもちろんいろんな皿を使いますが、普段は本当にシンプルです。日常の食事はそれで十分です。ていうか、それが私の疲れない暮らし方。
あと、「食洗器OK」の器だとほんと嬉しい。朝昼晩使うものだから、扱いが気軽で使いやすいのが最高じゃないですか(笑)。Zara Homeはポルトガルで作っているプリント皿もあったりするし、IKEAの食器もクセのないシンプルなものが便利で、どちらもかなりお世話になっています。
白央篤司
フードライター、コラムニスト。「暮らしと食」がメインテーマ。主な著書に、日本各地に暮らす18人のごく日常の鍋とその人生を追った『名前のない鍋、きょうの鍋』(光文社)、『台所をひらく 料理の「こうあるべき」から自分をほどくヒント集』(大和書房)がある。
https://www.instagram.com/hakuo416/
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Column
うつわのある暮らし
食を彩る素敵なうつわとともに日々を過ごす。憧れるけどなにから始めたら? フードライターの白央篤司さんが、「うつわのある暮らし」を始めるヒントを探りに、うつわの専門家を訪ねました。
2023.11.18(土)
文=白央篤司
撮影=平松市聖