世界トップクラスの「2.1ミリ」とは?
ラグジュアリーな冒険クルーズで知られるポナンクルーズが、どうして沖縄クルーズに喜界島を組み込んだかというと、この小さな島が世界的に見ても驚異的な存在で、冒険心を掻き立てるスポットにあふれているから。
何が驚異的か。実は、喜界島は隆起速度がスゴイのです。この島は10万年前にサンゴ礁が海中から水面に現れて島となりました。その後も隆起は続いて、隆起して浅くなった海域にサンゴ礁が形成されてさらに隆起し……繰り返し、めきめきと成長。隆起したトータルの高さは214メートル! この高さを10万年の年数で単純計算すると、1年につき2.1ミリ隆起したことになります。これが世界トップクラスの速さなのだとか。
ただし毎年少しずつ隆起してきたのではなく、短期間にグンと地面が盛り上がる地質的なイベントが複数回起きた結果だそうです。
景勝地テーバルバンタに立つと、この島のなりたちがわかります。背後に見える島の最高地点の百之台国立公園が10万年前、立っている足もとが8万年前、海側に向いてプリン状段丘の天辺が6年前、ふもとの集落が7,500年前に隆起した形跡。10万年もの間にここで起きたできごとを、ひとつの地点から見られるのは感慨深いことです。
2023.10.21(土)
文・撮影=古関千恵子