この記事の連載

 のっけることで生まれる、新たなおいしさ。フードライターの白央篤司さん、ごはん同盟のしらいのりこさんが「のっけて、食べる」楽しさを、毎日交互にレシピ付きで綴っていきます。

 きょうの当番は、白央さん。

※本記事は、再公開したものです(初出:2022年11月10日)

» きのうのレシピ「純レバのっけ丼」


vol.119 しのだ丼

しのだ丼。
しのだ丼。

 油揚げを使う料理には「しのだ」という言葉が付くこと、よくあるんです。油揚げと長ねぎ、かまぼこを煮たのをのっけると「しのだ丼」に。先日名古屋のお店でいただいたのがおいしくて、真似てみました。卵でとじることが多いんですが、とじてなかったのが新鮮で、しっかりと甘めがおいしかったなあ。

■材料(1人分)

・油揚げ:1枚
・長ねぎ:25g程度(10cm長さぐらい)
・カニカマ:50g
・ごはん、青ねぎ:適量

【A】
・酒:大さじ5
・みりん:大さじ2
・水:大さじ3
・醤油:大さじ1
・砂糖:小さじ2

■作り方

(1) 油揚げは食べやすい大きさに刻み(下の写真参照)、ねぎはななめ切りにする。

(2) 鍋などに(1)とカニカマ、Aを入れて一度沸かし、強めの中火にして4分ほど煮る。

(3) 器にごはんを盛り、(2)をのせ、刻んだ青ねぎを散らす。

 油揚げの切り方は好みですが、写真左のように正方形にするもよし、写真右のようにタテ長に切るもよし。最近の油揚げはそのまま使って問題のないものが多いですが、触って油っぽさが気になる場合は、熱湯にくぐらすか、軽くお湯で煮て粗熱がとれてから刻んで使ってください。下煮をした油揚げは味が染みやすくもなります。

 なぜ「油揚げ=しのだ」なのか、というと文楽や歌舞伎の演目『葛の葉』に関係します。この物語に出てくるキツネが「しのだ(信太、信田とも書かれる)の森」に棲んでいたという設定で、キツネの好物とされた油揚げに結びついたよう。『葛の葉』は先代・中村雀右衛門さんのが素晴らしかったです……と話が逸れすぎ。ではまた。

おいしいもののっけ隊(隊員2名)

白央篤司(はくおう あつし)

「暮らしと食」がテーマのフードライター。日本各地のローカルフードに詳しい。著書に『自炊力』(光文社新書)など。オレンジページやメトロミニッツなどでコラム連載中。
https://www.instagram.com/hakuo416/


しらいのりこ

お米料理研究家。米農家出身の夫、シライジュンイチと共にごはん好きの炊飯系フードユニット「ごはん同盟」として、美味しいご飯の炊き方やお米の料理、ごはんに合うおかずなどのレシピ考案を行う。
https://linktr.ee/shirainoriko

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Column

のっけて、食べる

のっけることで生まれる、新たなおいしさ。フードライターの白央篤司さん、ごはん同盟のしらいのりこさんが「のっけて、食べる」楽しさを、毎日交互にレシピ付きで綴っていきます。

2023.11.10(金)
文・撮影=白央篤司
イラスト=二村大輔