この記事の連載
- #1 くるりのえいが
- #2 感覚は道標
映画の見どころはエビフライかも(笑)
──岸田さんが思う、『くるりのえいが』の見どころは?
岸田 全部は全部なんですけど、エビフライが出てくるシーンがすごく好きで。そのエビフライがうまかったっていうのもあるんですけど、わりとくるりって、現場での食事を大事にするんですよね。伊豆スタジオでのレコーディング中、ご馳走をいただく時もありましたけど、エンジニアさんが毎朝作ってくれるハムエッグとか、赤だしのお味噌汁がおいしくて。そういう普通のご飯をみんなで一緒に食べて、夜は酒飲みながら買ってきたおつまみを食べて、みたいな日々で。さっき「Get Back」の話が出ましたけど、ビートルズの人たちがまずそうに紅茶飲んでんのとか観ると、いやーな気持ちになるんですよね。
全員 あはははは(笑)。
岸田 ビートルズも紅茶も大好きなんですけどね。演出上か、その紅茶がまずかったのかはわからないですけど、イギリスの紅茶はあんなにおいしいのに、とか思って。あと誰かのドキュメンタリーを観た時も、お弁当とか食事が残されてるカットがあったんです。なんでその物撮りを使うかな、みたいな。
佐藤 いらないよね(笑)。
岸田 うん。その食べ物を粗末に扱ってるロック系のドキュメンタリーの記憶がなんとなく残っていて、それが嫌で。だから「くるりのえいが」の中の、特段意味はないけどとても大事なシーンで、エビフライが象徴的に出てくるっていう、その表現の裁量にもう……最大限の敬意を。
佐渡 よかったです、エビフライ入れといて(笑)。
岸田 あれ、みんなエビフライ食べたくなると思うんですよね。ロック作ってる映画でエビフライ食べたいって思うなんて、それだけでイケてる映画じゃないですか。
──監督としては、この映画が受け手にどのように届いて欲しいですか?
佐渡 くるりの皆さんは、音楽をやってる時も、ご飯を食べたり、ちょっと観光に行ったりしてる時も本当に楽しそうで。やっぱり音楽って音を“楽しむ”というものですから、メンバーの皆さんが音楽を楽しんで作ってるというところが、うまく伝わるといいなと思いますね。社会のこととか、いろんなことを考えるような映画も大切ですが、ポジティブな気持ちになれる映画もすごく大事だと思うので。
映画『くるりのえいが』
出演:くるり
岸田繁 佐藤征史 森信行
音楽:くるり 主題歌:くるり「In Your Life」 オリジナルスコア:岸田繁
監督:佐渡岳利 プロデューサー:飯田雅裕
配給:KADOKAWA 企画:朝日新聞社 宣伝:ミラクルヴォイス
オフィシャルサイト: https://qurulinoeiga.jp/
公式X(旧Twitter):@qurulinoeiga
2023年10月13日(金)より全国劇場3週間限定公開&デジタル配信開始!
2023.10.12(木)
文=石橋果奈
写真=深野未季