この記事の連載
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真尋は「脚本を書くこと」で救われている人
――脚本家はイマジネーションを働かせないと書けない職業かと思いますが、なぜ真尋はその職に就いたと思われますか?
必ずしも世に発信できるエネルギーに溢れている人だけが脚本を書くわけじゃないと思うんです。自分が抱えていることを外に表現できないからこそ、「作品にして書く」ことにたどり着いたのかなと解釈しています。真尋は「全然才能がない」と周囲の人に言われるのですが、それでも脚本家を辞めないということは、どこか彼女が「書くこと」に救われているところがあったり、文字の世界にいることで安心感を覚えたりもしているのかなと思います。
――本作の出演を経て、ご自身の中に何か変化や気づきはありましたか?
私も真尋と同じで、知らなくていいこともあると心のどこかで思っていたのですが、作中で「真実を知った上で進んでいく方が、もっと前向きになれるんじゃないか」という香のセリフを受けた時に、自分の中にも変化を感じたんです。痛みを自分の中にちゃんと一度落とし込むという強さに、とても共鳴しました。
――香と真尋の過去と、そこに関係する事件を紐解いていく重厚な作品ですが、希望や救いも感じました。今の吉岡さんにとって「救い」になっているものを教えてください。
私は割とかんたんに幸せな気持ちになるタイプなので(笑)、コンビニで好きなお菓子を買ったとか、ちょっとしたことでいいんです。先日は撮影の合間にスーパーに寄って、お昼ご飯に助六寿司とパンとスイカを買ったんです。一見バランスは悪いんですけど、好きなものだけ買えたことや、ゆっくり買い物する時間ができた! って思うだけで、とても幸せな気持ちになりました(笑)。そういうので十分なんです。
吉岡里帆(よしおか・りほ)
1993年1月15日生まれ、京都府出身。2013年より芸能活動をスタートし、16年のNHK連続テレビ小説「あさが来た」で注目を集める。近年の主な出演作に映画「ハケンアニメ!」、「アイスクリームフィーバー」、「Gメン」などがあるほか、待機作に10月クール主演ドラマ「時をかけるな、恋人たち」が控える。
『連続ドラマW 湊かなえ「落日」』
2023年9月10日(日)22時~WOWOWにて放送・配信(全4話)
出演:北川景子 吉岡里帆 久保史緒里(乃木坂46)/竹内涼真 黒木瞳 ほか
原作:湊かなえ『落日』(ハルキ文庫)
監督:内田英治
脚本:篠﨑絵里子
2023.09.07(木)
文=根津香菜子
撮影=杉山拓也
ヘアメイク=北原 果(KiKi inc.)
スタイリスト=安藤真由美(スーパーコンチネンタル)