――キー局を目指して大学も選び、ミスコンやスクールと準備に準備を重ねて、それでも夢には届きませんでした。どんな思いでしたか。

西澤 言葉では表現できないです、そのときの心境は。周りも巻き込んで、いろんなことを重ねてきての試験だったので。しかも、アナウンサーは新卒のタイミングを逃したら、なかなか目指せる夢じゃないということも分かっていたので、アナウンサーになるという夢は諦めないといけないなと思いました。

 この先どうしよう。何で落ちたんだろう。あのときこんなトークをしてたらよかったかな。あれが駄目だったのかなと後悔を繰り返して。想像以上に負のオーラが出ていたと思います。

――でも、それはしょうがないですよね。それだけの準備を積み重ねてきたうえでの結果だから。

西澤 アナウンサー試験に落ちたことは、親友にも言えなかったです。アナウンサーになるのが目標だって周りに言って、逃げられない状況を自分で作っちゃってるから、何て言えばいいのかわからなくて。実は今でもはっきりは言ってないです。まだ落ちてないことになってます。

 

卒業旅行前日という地獄のタイミングで破局

――目標にしていたアナウンサーの夢に敗れ、絶望の西澤さんですが、さらに追い討ちがかかったそうですね。

西澤 当時付き合っていたのが、テレビ局に就職が決まった人だったんです。彼は研修が始まって「ここがつらかった」とか相談してくれるんですが、私にとってはそれさえ羨ましく、悔しい気持ちになっちゃって。「なんで希望していた就職先に受かっているのに、そういうこと言うの」と言い合いになったこともありました。

 それでも私は時間が解決すると思っていたんですけど、相手はそういう環境に耐え切れなくなって。向こうから別れを切り出されました。思い出すのもつらいんですが、仲の良い友達と卒業旅行に行く前日に、彼と会う約束をして一緒にいたんですけど、その夜に別れようって言われて。

2023.08.29(火)
文=徳重龍徳