西澤 実は、自分からミスコンを運営している友達に「私、アナウンサーになるって目標があるんだよね」と相談して、「だったらミスコン出てみなよ」とうながしてもらいました(笑)。自分からは応募できなかったので、友達に言ってもらいました。

――限りなく自薦に近い他薦ですね(笑)。その甲斐あって、2013年の「ミス中央コンテスト」でグランプリに輝きます。

西澤 キャラクターも今ほど自分を出していなかったですし、当時が人生史上一番清楚だったと思います(笑)。

 ミスコンではサークルの仲間だったり、周りの友達がとても応援してくれました。グランプリを取った後に、応援してくれた友達が集まっている客席へ自然と深くお辞儀したことを今でもよく思い出します。

 ミスコンでは手紙を読むんですけど、そこでもアナウンサーになりたいと話しているんです。アナウンサー志望なのはみんな知ってる状態なので、さらに後には引けなくなりました。

 

キー局は全部不合格…長年の夢が叶わなかった絶望

――確実にステップを踏んだはずなのに、本番のアナウンサー試験ではキー局全部に落ちてしまう。

西澤 面接までは進むんですが、受からないんです。今振り返ると、試験ではこうしなきゃいけないという自分の中で変な形を作ってました。「これを聞かれたらこのエピソードを話す」とか「まず自己紹介はこのエピソードで30秒」とか。スクールで習ったものをそのまま出さないと合格できないと思い込んでました。

 話す内容を決めすぎていた分、落ちたとしても、次の局の面接で柔軟に変えられない。また同じ話をしては落ちるを繰り返してました。

――型が決まった優等生より、個性があるほうがより魅力的に見えるかもしれませんね。

西澤 そうです、そうです。だから、今となってはダメなタイプだったなと思います。形が崩れたところに面白み、人間味が出るのに、そういうところを見せちゃダメだと思い込んでいて。あるキー局は最終の手前くらいまでは進んでいたんですが、落ちてしまいました。

2023.08.29(火)
文=徳重龍徳