「屋根のない美術館」と呼ばれるフィレンツェには、中世のままの美しい街並みが残る。
レストランやショップは、伝統を大切にしつつ、進取の精神を忘れることはない。今こそフィレンツェへ。この街は、いつだって「今」が一番面白い!
時代を経ても決して色あせることのない、普遍的な美しさは存在するのだろうか? 古都フィレンツェは、その疑問に対する確固たる答えを与えてくれる。フィレンツェで今注目の4つの宮殿や大聖堂を4回に渡りご紹介。
薔薇色に輝き続ける大聖堂の描いた軌跡
◆Duomo(ドゥオーモ)

ドゥオーモの正式名称は、カテドラーレ・ディ・サンタ・マリア・デル・フィオーレ。日本語に訳すならば、「花の聖母大聖堂」である。

フィレンツェの代名詞たるこの堂宇の建設が始まったのは、1296年のこと。しかし、完成を見るまでには、実に140年もの長い歳月を要した。

その理由は、クーポラにあった。外径50メートルにも達するこの巨大な円蓋をいかにしたら建造し得るのか、誰も解答を持ち合わせていなかったのだ。

その難局を打開したのがブルネレスキ。独立した二重構造のドームを造るという手法で、決着をつけたのだ。
それ以来、薔薇色のドゥオーモは、この街の中心として輝き続けてきた。

「最後の審判」が描かれたクーポラ内部の天井画、身廊を飾る絵画や彫刻の数々、精妙巧緻なファサード……。
聖なるこの場所で、人は、美という言葉の本当の意味を知る。

Duomo(ドゥオーモ)
所在地 Piazza del Duomo, 50122 Firenze
電話番号 055 2645789
営業時間 10:15~15:45
休館日 日曜・祝日、1月1日、イースター、12月25日など
拝観料 無料
https://duomo.firenze.it/

Column
CREA Traveller
文藝春秋が発行するラグジュアリートラベルマガジン「CREA Traveller」の公式サイト。国内外の憧れのデスティネーションの魅力と、ハイクオリティな旅の情報をお届けします。
2023.08.31(木)
文=下井草 秀
撮影=橋本 篤
CREA Traveller 2023 vol.3
※この記事のデータは雑誌発売時のものであり、現在では異なる場合があります。