永井 この情報を収集するという能力は、ナンバー2の最大の条件ではないでしょうか。ナンバー1には情報はなかなか入らない。それをアチコチから情報収集して総合判断できる。そういう能力がないと、名ナンバー2にはなれないと思いますね。

 ナンバー2殺しに遭わないために

 城山 逆に、ナンバー1には、しきりにナンバー2殺しをやる人がいますね。企業にもよくそういうのがあって、自分の座を狙われないように、片っ端からナンバー2を切っていく。これは困りますね。ナンバー2として、殺されないためにはどうすればいいんでしょう(笑)。

 永井 むずかしいですね、それは。

 城山 ひとつは、簡単には切られないぞ、また切られてもすぐ盛り返すぞというように、いつでも敗者復活できるような粘り強さというか、打たれ強さを身につけることですね。

 それからやはり、ちゃんとした仕事とか情報量を持っていて、こいつを切ってしまったら、ものすごく大きな穴があいてしまうと思わせる実績を作っておくことでしょうね。

 永井 そうそう。

 城山 あるいは人脈。こいつを切ったら大変な反乱が起きちゃうとか、外からもやられちゃうとかね。社内だけでなく、外部にもいろんな人脈を持っていることが必要ですね。

 ぼくは『打たれ強く生きる』という本の中で、“乱反射する友を持て”と書いたんですが、社内の一部の人間、自分が可愛がっている仲間だけでは、これはどうしようもないわけで、内外に乱反射するようないろんな人間を仲間に持つことですよ。

 永井 やはり粘り強さが大事なんですね。パッと咲いてパッと散ろう、なんていう短気な心を起こす人はだめですね。

 城山 ここでおれを切ったら会社が危うくなるとかね。潔く切られちゃおうなんて思わないこと。プライベートな面で淡白さはあっていいが、組織の責任とか、公的人間の立場では粘り強さを持って、会社のため、組織のためにおれは去ってはいけないんだとね。あるいは、おれを簡単に切るようなことをすれば、ナンバー1も不幸だし、それ以上に組織全体が不幸になるという、そういった粘り強さを持って闘わなくてはいけないんですね。

2023.08.30(水)