押さえるべき3つのポイント

 毎回その質問に答えるのにわかりやすく一言でまとめるように工夫しているのだが、実際の取引の事例や経験から、次のように集約することとした。

「60㎡前後」 × 「都心・準都心の駅から徒歩7分以内」 × 「2001年以降完成」

 都心・準都心で、駅から徒歩7分くらいまで(エリアによっては徒歩5分以内)の場所で、2001年以降完成の物件で、60㎡前後(54㎡「16坪強」~68㎡「20坪強」くらいまで)のマンションを適正な価格で購入することが、他の立地、種別、専有面積で購入した場合に比べ、最も失敗の可能性が低いというものだ。

(以下「60㎡」とは、54~68㎡くらいまでの面積のものをいい、以下上記の条件でのマンション購入を「60㎡論」という)

 実際に、この「60㎡論」で購入した多くの人たちが、前出の加藤さんご夫婦のように購入時より高い価格や、ほとんど下がらない価格で売却に成功している。

 なぜなら、60㎡はさまざまな側面から見て最も無駄がないからだ。

 75~80m²に比べ、60㎡は価格が手頃なのに加え、途中で売ることや貸すことになった場合でも、“守備範囲が広い”ことから「売りやすく、貸しやすい」。 

 そして、コストパフォーマンスに優れていて、税制メリットを効率的に受けられる。

どんな人たちが購入している?

 都心・準都心の「60㎡」マンションを売却するとしたら、具体的にどのような需要があるのか?

 実際に60㎡のマンションを購入された方々は次のような人たちだ。

 

■夫婦2人(子どもが生まれる前の夫婦、DINKSを含む)
■子ども1人と夫婦の3人家族
■子ども2人と夫婦の4人家族
■子どもが独立した後の夫婦
■1人暮らし(未婚、離別、死別)
■母子家庭、父子家庭
■兄弟姉妹
■60代と40代、70代と50代などの親子2人
■夫婦と、夫または妻の父か母、または両親の3~4人
■親と子と孫の3~4人
■カップル(事実婚カップルや恋人同士など)

■ダウンサイジング住み替え層
(子供の独立後など、広い家を売却して夫婦2人にちょうどよい広さのマンションを購入する層。あるいは資産性のある80㎡くらいの広いマンションを所有しているが、高い価格で売却可能なうちに利益確定目的で売却し、60㎡くらいの広さのマンションに住み替えたい層)
■「郊外→都心」「駅遠→駅近」「一戸建て→バリアフリーマンション」への住み替え層(老後の生活のために、利便性のよい都心にバリアフリーマンションを購入する層。あるいは、駅近の利便性がよい場所に住み替えたい層)

2023.08.23(水)
文=後藤一仁