その当時においての2025年予測では「ファミリー世帯」が約1369万世帯、「一人暮らし世帯」は約1996万世帯、「夫婦のみ世帯」は約1120万世帯となっていた。

 しかし実際には2020年の時点で「一人暮らし世帯」の数は当時の予測を早くも超えており、また、「夫婦のみ世帯」も予測に肉薄している。

これからの「家族構成の変化」

「ファミリー世帯」は75~80㎡以上の広さを必要とするかもしれないが、今後割合がどんどん増える「一人暮らし世帯」と「夫婦のみ世帯」は必ずしもその広さを必要とはしない。

 住宅で暮らす家族構成も今までのような「夫婦と子ども2人」の計4人が標準的な世帯とされていた時代から、生涯未婚率(50歳時で一度も結婚したことのない人の割合)や離婚率の上昇、平均寿命が延びたことで配偶者に先だたれたシニア数の増加などにより「一人暮らし世帯」が加速度的に増加している。「夫婦のみ世帯」、「一人親と子の世帯」と合わせて、2025年には6割を超え(67.1%)、2040年には7割を超える(70.1%)推計となっている。

 日本の「人口」は既に減少に転じているが、「世帯数」は今までの「夫婦と子ども2人」の世帯から「一人暮らし世帯」や「夫婦のみ世帯」へ移行しているため、現時点ではまだ減少していない。

 これから住宅を購入する人たちが35年の住宅ローンを組んだ場合、返済期間中に「ファミリー世帯」がどんどん減り「一人暮らし世帯」と「夫婦のみ世帯」が増えるということが予測されているので、20年後などに売却したり、貸したりする場面が訪れた際に少なからず影響を受けることが考えられる。あくまでも予測ではあるが、このような予測がされているということは押さえておきたいところだ。

 

広いほどいいとは限らない

 もちろん、60㎡前後の物件と80㎡前後の物件が同じ価格、同じコスト負担であればそれは広い方がいいかもしれないが(まれに冷暖房効率・掃除の手間などから広い住戸を嫌う方もいる。特に今後ますます割合が増える高齢者世帯ではその傾向が顕著なことが多い)、そうではない場合、80㎡は60㎡に比べ20㎡(およそ6坪)分、代金を高く払うわけで、例えば坪あたり300万円のエリアであれば単純計算で1800万円以上も高くなる。

2023.08.23(水)
文=後藤一仁