リスク回避の重要性

 もしも資産性のない物件を購入してしまうと、ともすればその家に縛られ、住宅ローンの返済に追われるような人生になってしまうことがある。

 今後の人口減少・少子高齢化が加速する日本で、新たに住宅を購入し、安心して暮らしていくためには、月々の固定費負担はできる限り抑え、「売れなかったり、貸せなかったりすることにより、その家に縛られてしまうリスク、住宅ローン破綻のリスク」を回避することが大切である。

 では、都市部の都心・準都心だからといって、そのエリアであればどんなマンションでもよいのかというと、もちろんそのようなことはない。

 なかには資産価値を保ちにくい、価格が下落するマンションも存在する。

 一般的な収入・予算であっても「購入するなら少しでも資産価値が保てる物件を買いたい」なら、現時点では「あまり面積が広すぎず、あまり築年数が経ちすぎていない、利便性のよい立地のマンション」を奨める。

そもそも家を買っていいのか

 私は東京を中心に35年間、不動産の購入・売却・賃貸・賃貸経営のサポート、コンサルティング、セミナーなどを行ってきて、これまでに2万組以上の対面個別相談を行い、6000件以上の取引にかかわってきたが、今までは不動産購入の相談時に次のような質問をよく受けていた。

「家を買うなら、一戸建てとマンションのどちらがいいですか?」

「今は買い時ですか?」

 しかし、ここ数年増えている質問が2つある。

(1)そもそも今後、本当に家を買ってしまってもいいのでしょうか?

⇒家の購入そのものの是非を問う質問

(2)もし買うなら、どこに、どのような種類の家(物件)を買ったら(選んだら)、最も資産価値が保てる可能性が高いでしょうか?

⇒どうすれば生涯のお金を失わずに済むかを尋ねる質問

 

 それだけ、皆これからの時代、将来とお金に不安を感じているのだろう。そして、これは質問ではないのだが、災害危険性の高い場所は除外して探している人が多くなってきたと感じる。以前は「地震はきたらきたですよ」「水害って言ってもエントランスが浸かるくらいなら」とうそぶく人や、そもそも関心すらない人が多かったが、昨今の自然災害の多さから、防災に対する意識もかなり高まってきたものと推察される。

2023.08.23(水)
文=後藤一仁