希望条件は「専有面積75㎡以上」
希望条件は始め3LDKで専有面積75㎡以上(出来れば80㎡以上)とのことだったが、家族構成を聞いてみると、夫婦2人と生まれたばかりのお子さんが1人の3人家族。
ご夫婦とも都心で働いていて、奥様は育休終了後、現在の職場に復帰する予定とのこと。色々お話を伺っているなかで「この相談者さんたちには準郊外・郊外の75~80㎡の3LDKではなく、利便性のよい都心・準都心の60㎡くらいの2LDKのほうがよいのでは?」と思い、提案したところ、そのエリアで「駅から徒歩5分の場所にある2003年完成の60㎡の2LDK」を購入された。
それから10年が経ち、加藤さん夫妻は再び私のところへお見えになった。
「60㎡の2LDKにして大正解」
10年前の当初は「一生住むことを想定して」物件探しをしていたお二人だったが「この度、どうしても引越さなければならない事情が出来たので、売るのがよいか、貸すのがよいか、相談したい」とのことだった。
早速、売却した場合の想定価格と貸した場合の想定賃料を調べてみたところ、賃料はほぼ10年前と同じか少し高い程度だったが、売却想定価格は購入時より2000万円以上も高かった。実際に売却したらすぐに買い手が決まり、購入時3950万円だった物件が6250万円で売れたのだった。
お子様は10歳になって、初めて個室を用意したとのことだが、それまでは意外と個室はあまり使わなかったので、無理に3LDKを購入しようとして不便な場所に買わずに、結局利便性のよい場所の60㎡の2LDKにして大正解でしたとのことだった。
この加藤さん夫妻のように、大きく利益を得られて笑顔になった人もいれば、一方で価格が下落して、住宅ローン残高に満たず、売るに売れなくなって、助けを求めに見える人もいる。
そのようなケースは、郊外や駅から遠い80㎡以上の3LDKなどを購入したケースがほとんどである。
2023.08.23(水)
文=後藤一仁