「男性もワンオペ育児をしてみてほしい」
――コロナ禍で立ち会えなかったチャラヒゲさんに電話で「わが子ちゃん可愛い?」と聞かれて「珍しい動物みたいだよ」と言うのも最高だなと。生まれた瞬間、母性が湧いて涙するみたいな母性神話はいまだに根強くありますが、実際はまだピンとこなかったり。私は娘がもう中学生なんですが、いまだに母性があるのかどうかもわからない。世の中の大半の女性がそういう感じだと思います。
ですよね。私も最初はなんとなくチャラヒゲに父性を持たせた方がいいんじゃないかなと思って「偉大なる父」って呼び始めたんですが(笑)、今現在チャラヒゲに父性ある? と聞いたら、ないって言うし。私も可愛いわが子ちゃんをがんばって育てるぞ! と言う気合はあるんですけど、母性があるかと言われたらわからない。
うちはわが子ちゃんを12時間ぐらい保育園に預けてるんですけど、それに関して、かわいそう! みたいに言われるのは、変だなと思いますね。
――子どもと一緒にいる時間や、家事育児にかける手間や時間が、イコール「母の愛」のように語られがちですが、そこは切り分けて考えるべきですよね。育児に関するモヤモヤといえば、現代では男女の役割問題も避けては通れません。育児に携わる男性は増えたとは言っても、まだまだ「お手伝い」気分が抜けない男性も多いなかで、『わが子ちゃん』のチャラヒゲさんは「育児平等」すら飛び越えて、「なゆちゃんは妊娠出産という大変な役割を担ってくれたんだから、育児は全部僕がする!」と宣言して実行する。神かよ! と衝撃を受けました。
個人的には当然だろ! って思いますけど、周りの話を聞いてると、共働きでも「平等に分担」以下、母親の負担が大きい夫婦のほうが多いですよね。
チャラヒゲ自身は、もともと妊娠・出産に関して、男は身体的にはなにもできないという無力さを感じてたみたいで。でも、育児なら自分もできる! って。子どもを作ると決めた時点で、育児は自分がやると決めてたんです。
2023.07.28(金)
文=井口啓子
撮影=平松市聖