各国文化が入り乱れるマーケットグルメ
前に少しご紹介したとおり、インスブルックのクリスマスマーケットには、チロルの文化が色濃く根付いています。さらに面白いのは、国境を接するイタリア、スイス、ドイツの文化もそこはかとなく感じられる点。マーケットの屋台をのぞくと、あれ? ウィーンやザルツブルクとはちょっと雰囲気が違います。ひとことで言うと、料理のバリエーションが多い! え、これってオーストリア料理なの? という異国情緒漂うスタンドが軒を連ねているのです。というわけで恒例ですが、インスブルックでもクリスマスマーケットの食べ歩きをしてきました。
右:こちらはクレープのスタンド。もはや気分はパリです!
まず目立ったのはフランス勢。おなじみのフレンチフライからクレープまで、フランスのご当地グルメが登場です。数週間オーストリア料理を食べ続けた身には、なんともうれしい! もちろんチロルの伝統料理を味わえるスタンドもあります。王道はベーコンとジャガイモを炒めたティローラーグレーストゥル。ドイツのジャーマンポテトにも似た感じで、ビールによく合います。そういえば、チロル地方はおいしい地ビールの産地としても有名です。オーストリア=ワインというイメージが強いですが、ビール派の人もインスブルックなら思う存分ビールを堪能できますよ! そのほか、チーズをたっぷり使ったピザなど、イタリア風のスタンドも多数。ひとつのマーケットでヨーロッパ各国のご当地グルメが食べられるなんて、お得ですよね~。
最後にご紹介するのは、知る人ぞ知る老舗の燻製屋シュペックラーデレです。大人が3人も入ればぎゅうぎゅうになってしまうほどすごく小さなお店ですが、店内にはおいしそうな燻製が所せましと並んでいます。燻製やソーセージはすべて手作り。チロル地方に代々伝わる伝統的な製法で作られているそうで、お客さんのほとんどは地元の方なんだそう。おすすめは「ミニデビル」というちょっと怖い名前がついたソーセージ。ぴりっと辛くて、あとひく美味しさです。ぜひチロルの伝統の味を試してみてください。
シュペックラーデレ
所在地 Stiftgasse 4, A-6020 Innsbruck
電話番号 +43-512-588816
営業時間 9:00~13:00、14:00~18:00
定休日 日曜日、月曜日
オーストリア航空
URL http://www.austrian.com/
オーストリア政府観光局
URL http://www.austria.info/jp
小林百合子(こばやし ゆりこ)
フリーランス編集者。出版社勤務を経て独立。旅やアウトドア、自然にまつわる雑誌・書籍の編集を手がける。女性向け山岳雑誌『Hütte』(山と溪谷社)の編集を務め、女性らしい視点で登山の楽しみ方を提案している。著書に『山と山小屋』(平凡社)がある。
田部井朋見(たべい ともみ)
写真家。大学中退後、ファッション関係の出版社に入社。退社後、フリーランス。ファッションやレコード、CDジャケット、写真集などの仕事に携わり、海外取材も、60カ国を超える。特に、オーストリアは50回以上滞在。文と写真を手がけた著書に『ウィーンのカフェハウス』(東京書籍)がある。オーストリアのように、水道水の美味しい国が大好き。
Column
冬のオーストリア クリスマスをめぐる浪漫旅行
きらびやかなイルミネーションが街を彩り、一年で最もロマンティックな季節を迎えるヨーロッパ。なかでも、クリスマスマーケットの文化が根付いたオーストリアはとてもロマンティック。乙女心をくすぐるウィーン、ザルツブルク、インスブルック、3つの街をご案内します!
2013.12.22(日)
小林百合子=取材・文
田部井朋見=写真