親権、養育費、面会交流、子どもへの伝え方……。子どもがいた場合、そうでない場合に比べ、離婚にあたって越えなければならない壁は多くなる。

 それだけに、何から始めればいいのか、どうすれば幸せに離婚できるのか、わからず困り果てる人も少なくない。そんな夫婦の悩みに25年もの間寄り添い続けてきたのが、家庭問題カウンセラーの新川てるえ氏だ。

 同氏の新著『マンガ 子連れ離婚を考えたときに読む本』(日東書院本社)では、離婚の準備や手続きなどの解説を軸に、40代主婦・かなこさんの物語が紡がれる。ここでは同書の一部を抜粋した試し読み、さらに担当編集者のインタビューをお届けする。

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離婚について正しい情報を得るのはなかなか難しい

「実は、10年ほど前に、私自身が原作本の『子連れ離婚を考えたときに読む本』(日本実業出版社/2006年発行)の読者としてお世話になったのが企画の出発点なんです。他の離婚関連の書籍と違って“離婚家庭で育った子どもの気持ち”が、リアルにわかることが印象に残っていました。それから時間は空きましたが、1年ほど前に、たまたま家の本棚で見つけて『今は3組に1組が離婚しているともいわれているし、より需要は高まっているだろう』と考えまして。

 というのも、離婚について正しい情報を得るのは、なかなか難しいんですよ。インターネットにも情報はありますが玉石混交で……。原作の書籍はとても有意義な本だったと思っています。とはいえ、子育てをしながら、複雑な制度や手続きについての本を読むのはなかなかハードルが高いんですよね。だからこそ、そういった方に、なるべく読みやすく、そして、たしかな情報をお届けするために、“漫画”の力を借りることに決めました」(担当編集)

「親子で幸せになること」を意識して制作

 漫画で表現されているからこそ、複雑な手続きを正しく理解するうえでのハードルは格段に下がっている。さらに、ふじいまさこ氏のポップな絵柄は、ネガティブな心情に陥りやすい離婚検討時でも気軽に読み進めやすい。

「『ひとり親の子どもを“かわいそう”な存在にしているのは、“親も含めた周囲の大人”』という考え方や、経済的に不安のある人へのアドバイスが充実しているところに、著者のやさしさとリアリティを感じています。離婚だけが正しい選択というわけではなく、『親子で幸せになること』を意識して制作したので、パートナーとの関係でお悩みの方に読んでいただけると嬉しいです」(同前)

「家の主人は俺なんだから」「おふくろはちゃんとしてた」…専業主婦から離婚を突きつけられた亭主関白夫の“まさかの反応” へ続く

2023.07.09(日)
文=新川てるえ、ふじいまさこ