この記事の連載
- 磯谷友紀さんインタビュー #1
- 磯谷友紀さんインタビュー #2
- 『ながたんと青と』より
料理が苦手なら「周さんの料理」からチャレンジしてみて
──作中に登場したお料理で、おすすめのお料理はありますか?
磯谷 江澤さんのアイデアを拝見して感動したのは、2巻の第8話に登場する手巻き寿司です。40人のGHQの奥様と日本の奥様方の婦人交流会で、いち日が「みんなでわいわい楽しみながら食べられるように」と手巻き寿司を提案する回があるんですけど、江澤さんにストーリーと、手巻き寿司にする理由を説明したら、スクランブルエッグや焼き鮎ほぐし、新生姜甘酢漬け、万願寺とうがらしのたいたんなど、素晴らしい具材をご提案くださって……。
しかも、手巻き寿司のソースも、日本人の口にも外国人の口にも合うよう、京漬物とマヨネーズのタルタルソース、しょうゆジュレ、テリヤキソースの3種類のソースを考えてくださり、めちゃめちゃ感動しました。
──あの手巻き寿司は、すごくおいしそうでした。意外と身近な材料が使われていて、工程もていねいに描かれているので、「自分でもつくれそう」と思います。
磯谷 それはうれしいです。Twitterなどでも、つくった料理を投稿してくださる方が多くて、ありがたいな〜と思っています。さすがにプロの料理人であるいち日の料理は、少し難しいレシピもあるんですけど、周の料理は私の発案レシピなども混ざっているので、意外と簡単です。
いち日が忙しい時に、周がいち日に教わってつくる、「しいたけのたいたん(2巻第6話)」などは、めっちゃ簡単で常備菜にもなるので、ぜひつくってみてほしいです。それから、これは江澤さんのレシピですが、「らっきょうと鶏ひき肉のおいなりさん(5巻第23話)」もすごくおいしいので、こちらもおすすめです。私も時々つくっています。
──料理が苦手な読者は、まず「周さんの料理」からチャレンジするといいんですね。
磯谷 はい。周がつくる料理は難易度が低いので、おすすめです。周がいち日の母・愛子に教わってつくる「海老の鬼殻焼き(3巻第12話)」も、華やかで難しそうですが、実はめちゃめちゃ簡単なので、ぜひ試してみてください。
──京大に通う周さんが成人して以降、お酒のシーンが増えておつまみレシピも増えましたよね。これも楽しみにしている読者が多いのでは。
磯谷 料理監修をお願いしている江澤さんは、熱燗と生ハムに魅了されて店を開いたというくらい、お酒とおつまみがお好きな方なんです。だから、どのおつまみレシピも魅力的で、毎回私も楽しみにしています。周が20歳になったので、お酒を飲むシーンを堂々と描けるようになりました。
お酒については、実はいま、ソムリエの勉強もしているんですけど、独学なので好きなところしか頭に入ってこず、記憶力の限界を感じています。周に負けないようコツコツ勉強して、いつかソムリエ試験に受かりたいのですが、まだ先になりそうです(笑)。
ながたんと青と-いちかの料理帖-(1) (KC KISS)
定価 550円(税込)
講談社
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2023.07.08(土)
文=相澤洋美