“まぶしい青春”ではなく“リアル”な高校生活を描いている
――原作の舞台でもある石川県七尾市でロケを行ったそうですが、いかがでしたか?
七尾市、本当にめちゃくちゃよかったです! 1か月まるまる滞在していたけど、もうまた行きたくなっています。実際に望遠鏡で星を見たりもして。本当に星がキレイで、美しかったな……。
それに、七尾市の皆さんが本当に優しかったですね。撮影中に「これ『君ソム』の撮影だよね!」と声をかけてくださったり。作品の力も実感しましたし、七尾市の優しさも肌で感じましたし、七尾市で撮影できたからこそ、演技ができた気がします。
――アニメーション化もされて話題の作品ですが、映画ならではの良さをどこに感じていますか?
言葉にするのはすごく難しいんですけれど……独特の空気感が僕はすごく好きです。「ゆったり」とでも言うのかな……。高校生の物語ですけれど、僕は原作から“まぶしい青春”ではなく“リアル”をすごく感じたんですね。地に足のついたリアルな感じがめちゃくちゃいいなと惹かれたので、そこを映画で出せればと意識していました。
――確かに本作は“キラキラまぶしい青春映画”というよりも“リアルな青春映画”という印象です。
そうですよね。振り返って儚さを感じるような青春というか。特に、こうやって撮影時のことを思い出していると「戻りたいな」という気持ちになるんです。本当の学生生活と同じような感覚で「戻りたいな」と思えるのは、丸太として生きていた瞬間が自然と輝いていたからかな、と思いました。
18歳くらいでずっと止まっていたい!
――いま19歳でもうすぐ20歳。10代と20代の境目にいらっしゃいますが、どう感じていますか?
本当に20代になりたくないです! 18歳くらいでずっと止まっていたい!
――むしろ1歳若返りたい、と(笑)。
中学生くらいまでは「大人になりたい」派でしたが、16~17歳ぐらいには「今ぐらいがちょうどいいな」と思うようになり、19歳になった今は「もう大人になりたくない」(笑)。
なぜなら大人は大変そうだなと思うから。僕はまだ大人として立ち振る舞える自信がないから、もう少し甘える側でいたいな、というのが正直なところです。
――とはいえ年は重ねてしまうのですが……憧れる大人の像はありますか?
どこか子供っぽい無邪気さがある人が理想です。考え方が柔軟な人というか。ちゃんとするところはするけど、抜くところは抜いて、楽しむ純粋さを持っている人に憧れます。そういう人になれるなら、大人も悪くはないのかな(笑)。
2023.06.22(木)
文=赤山恭子
撮影=深野未季
スタイリスト:伊藤省吾 (sitor)