翌日、総務課長が「おばが『ああ、よう覚えとる。電話してくれ』って言うとる」と電話番号のメモをくれたんです。それで先生と数十年ぶりにお会いできることになって。

 石井 そこからまたお付き合いが始まって、ずっと続いとります。

 小川 石井先生も、僕が教育の現場で働いているということを非常に喜んでくださいまして。

 石井先生が出された本の帯に、「長う生きたら、まるく、かわいくなりました。」と書いてありますけど、確かにそうですね(笑)。僕の担任だったときの先生は、タイトなスカートのスーツを着て、シュッとしていましたから。(スクリーンに入学式の集合写真を映して)中央に座っているのが噂の石井先生。

 石井 恥ずかしい、こんな写真があったんですか。でも、もっと褒めて(笑)。

 小川 美人だしね。優しいしね。このぐらいでいいですか(笑)。僕は覚えていないんですが、おふくろが言うには、入学式を終えて家に帰ってきた僕が玄関で第一声、「うちの先生、おばあちゃんみたい」と言ったと。当時、たぶん先生は40代後半だったと思うんです。

 石井 子どもにはおばあちゃんに見えたんじゃね。(写真を見て)かわいらしい子がいっぱいおるね。

 

元カレが会場に!?

 小川 同じクラスに、お父さんが新聞社の記者をされている生徒がいたでしょう。

 石井 中国新聞の三原の支局長さんね。

 小川 そうだったんですね。当時、中国新聞に子どもが書いた詩を載せるコーナーがあって、先生の後押しで僕の詩も何度か載ったんです。1回、先生に「この詩、本当にあんたが自分で作ったんね?」って疑いをかけられて。別に先生が悪いわけじゃないですよ。僕の詩があまりにも良すぎたんです(笑)。

 石井 あなたはね、詩を作るの、うまかったですよ。

 小川 ありがとうございます。この辺りには、先生の教え子が沢山おられますよね。

 石井 ありがたいですね。

 小川 品のあるいい大人だなと思ったら大体先生の教え子(笑)。今日は、先生の昔の恋人も来られてるんじゃないですか(笑)。

2023.06.15(木)
文=石井哲代、小川 長