このほかDM機能がなかったりと、見た目はそっくりながら、実際に使ってみると「あれっ」と感じる点はちょくちょくあります。まだ正式公開前のベータ版ゆえに実装されていない場合もあれば、取捨選択して意図的に省かれている機能もあるように感じられます。

 その一方で独自の機能もいくつかあります。代表的なのが、自分自身が独自ドメインを保有している場合に、それと紐付けることで、ユーザ本人であることを証明する認証機能です。Twitterでは(かつては)認証バッジを取得するために運営側に申請しなくてはいけなかったのが、このBlueskyでは自動化されている格好です。

 このようにTwitterをベースとしながらも、一歩進んだ機能も用意されているのが、Blueskyの特徴です。もともとTwitterの社内プロジェクトだったのが袂を分かって事業化したという経緯もあり、Twitterの反省を生かした設計になっているのはごく自然でしょう。

 

将来有望…だけど新興SNSならではの懸念も?

 以上のように、現在はまだベータ版でありながら、シンプルだったかつてのTwitterをほぼ再現できており、不安定さもほぼありません(本稿執筆直前には、特定の画面を開くと元の画面に戻れないバグもありましたが、すでに解消されています)。Twitterの有望な移行先として評判になるのも納得というのが、実際に使った上での感想です。

 なかでも特筆すべきは、フィードに広告が一切表示されないことです。フォロー外のおすすめ投稿を表示する「What's hot」も、別タブに分離されていて、いきなりフィードに割り込まれる不快さはありません。近年のTwitterの使いづらさを感じていたユーザからすると「これだよ! これこそ求めていたものだよ!」となる可能性は高いはずです。

 現時点ではまだユーザ数も少なく、Twitter並の規模のSNSを回せる体力は運営側にはまだないでしょうが、MastodonやNostrなど、現在いくつかあるTwitterライクな新興SNSの中でも、そのポテンシャルは高く、将来的にTwitterを脅かす存在になっても不思議ではありません。また万一Twitterがサービスを終了した場合の受け皿にも、十分なりうると感じます。

2023.06.07(水)
文=山口真弘