鈴木 めちゃくちゃしんどかったですね。本当に体調が悪くなりました。何度、「もう無理です」と言おうかなと思いましたが、作家と名乗っている以上、残すべきだと思いました。これを読んだメンバーの気持ちも考えますし、ファンの人たちがこれを読むことで、悲しい気持ちを思い出す人もいるというのも思いましたけど、どうか最後まで読んでくれたらという気持ちで書いたんですよね。
新谷 最初に読んだとき、読み進めるうちに胸が苦しくなってしまって。感想のメールに書いたと思うんですが、鶴が恩返しで自分の羽を一本一本抜きながら、自分の身を削りながら綴っている、自分の身をそぎ落として言葉を紡いでいくような原稿でした。
鈴木 「スマスマ」の最終回で歌の収録があったんですが、収録の後にメンバーがスタッフ一人一人と写真を撮る時間がありました。それがとても良かったので、放送もしたんですが、じつは僕はそこに行っていない。
なんで行かなかったのかと言えば、そこに飯島さん(三智、SMAPの元チーフマネージャー、SMAPが解散に至る過程でジャニーズ事務所を退所した)がいなかったからです。僕は飯島さんに育ててもらったと思っているし、「SMAP×SMAP」のチャンスをもらったのもそう、クレイジーな発想・企画を教えてもらったのもすべて飯島さんです。あの人が現場にいないなら、僕も行ってはいけないと思った。
だから、「SMAP×SMAP」の最終回が撮り終わって、放送されても、自分のなかではまだ終わっていない。この小説を書いたことで、終わってはいないけど、自分の中で「丸」、もしくは「点」はつけられた。
「SMAPのいちばん長い日」と書かれていますけど、あの日は午前2時、日曜日の夜中に呼び出されたんです。その日は野沢直子さんと渡辺直美ちゃんとやっている舞台がすごくよくて、終わった後にみんなでクラブに行こうという話になりました。クラブに行って「久々に来ると楽しいね」なんて言っていたら、呼び出しがあって。日曜の夜中の2時にどういうことだ? と思いましたよ。それからずっと寝ずに、あの生放送を迎えた。
2023.05.23(火)
文=鈴木おさむ、新谷 学