上質な素材を使って丁寧につくる焼き菓子専門の小さなお店
16世紀にポルトガルから伝わった南蛮菓子を元に、日本で独自に発展したといわれるカステラ。卵、小麦粉、砂糖を使ったシンプルなお菓子にこだわる小さなお店を見つけました。
その『茶丸堂』があるのは、大阪市西区新町。近年、ビストロやトラットリア、バール、カフェなど、次々にお店ができて、注目のエリアです。
『茶丸堂』は、南船場にあるイタリアンの人気店『ボッチオ』が姉妹店として2013年3月にオープンした話題の居酒屋『玉ねぎ』に隣接。小さなショーケースと焼き菓子とクッキーが並ぶ棚だけの1坪のかわいいお店です。
右:焼き菓子がずらりと並ぶショーケース
オーナーの地頭方範宏(じとうほうのりひろ)さんは、「日本のカステラにこだわったお店をやりたいと、ずっと思っていたんです。カステラは、ずっと変わらない、シンプルでそぎおとしたお菓子だから」とにっこり。『玉ねぎ』は、日本酒を出し、バーニャカウダのクリームソースの料理もあれば、唐揚げ、お造りもあるというフュージョン料理の今風居酒屋。デザートに『茶丸堂』のお菓子も食べられるのだそう。
「茶丸堂としたのは、小さい頃、茶色くて丸いチョコレートが大好きだったから(笑)。年配の方でも覚えやすい店名にと堂とつけました」。
カステラを焼いているのは、歴舎(れきしゃ)育美さん。製菓学校を卒業後、イタリアのカフェバールやイタリア人が営む菓子店で働いてきました。「カステラを焼くのは初めてでした。シンプルなだけにとても難しくて」。
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2013.12.08(日)