2度の結婚・離婚を経て、現在はおひとりさま生活を謳歌する女優の南果歩さん。そんな南さんが中野信子さんに出会ったのは、2018年、南さんが重度のうつ病を患っていた時期でした。プライベートでも仲良しの2人が、結婚について、大好きなアートについて語った対談を『週刊文春WOMAN2023年春号』より抜粋して紹介します。

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好きなことに時間とお金を費やせる「おひとりさまの醍醐味」

 この号では「おひとりさま」の特集をしていて、私にぴったり(笑)。

中野 果歩さんはまさにおひとりさまを楽しんでいらっしゃいますね。活動の幅を広げて、本や絵本を書かれたり、単身アメリカに行ってドラマに出演されたり。ひとり旅もお好きですよね。

 お芝居を観に、よくニューヨークに旅します。昨秋は2週間滞在して、友だちがミッドタウンで営んでいるエアビーに泊まり、そこから毎日歩いてブロードウェイに通っていました。

 どんなに人気の舞台でも、1席なら良い席が必ずポツッと空いているものなんです。しかも、オンラインチケットは手数料だけで60~90ドルもするのに、劇場のチケットブースに行けば手数料はわずか2ドル。舞台三昧で2週間に11本観たかな。こういうことができるって、おひとりさまの醍醐味ですね。

中野 お悩みなんてなさそうですが。

 いえいえ、信子さんにぜひ相談したいことがあります。私は思考回路としては、いわゆる女性性が薄いようです。見た目は、か弱そうに見えるんでしょうけど。

中野 ……。

 あれ? 信子さんは私の実態をよくご存じだから、たやすくは頷けないか。

中野 いえいえ「か弱い=女性性」というのは、今はあまりよくない時代なので(苦笑)。

相手のために自身を弱く見せる必要が本当にある? 

 ここは「私はか弱く見える」ということにして(笑)、でも実はタフで、何かで落ち込んだとしても1~2日で立ち直るんだけれども、時々神様が私を試すかのように大きな事件を起こす。

2023.04.02(日)
Text=Atsuko Komine
Photographs=Hirofumi Kamaya