「この曲は清算書です!」メンバー全員が尊敬する“ある人物”
――ライブやリハーサルで演奏してよかったアレンジを音源化する、という流れはよくありますか?
荒井 今でこそ、レコーディングをやるから曲を作る、という流れですけど、バンドを始めた頃っていうのは、ライブをやるから曲を作って、その曲をライブで演奏していって、各自がアルバイトをしてお金を貯めてようやくCDを作る、という流れでしたからね。「CDを作るならこの曲を入れようよ」みたいな。だから、ライブでやった曲を音源化するというのは自然な考え方なのかなと。
黒田 やってきたことの延長に今があるので。もちろんライブだからこそできること、音源だからこそできることがある、ということも学んできたので、それぞれ一番いい形で出せたらと思ってますね。
――10年やってきたからこその引き出しですね。
黒田 少しずつ……(方位でいうと)こっち側が「右」って名前付いてんだ、ぐらいはわかるようになりましたね(笑)。
片岡 相当時間かかったね、右側覚えるまで(笑)。
――レゲエの雰囲気が漂う「IN THE FLIGHT」は楽しい楽曲ですね。「待望の兄貴爆誕」という歌詞がありますが、この曲にはモデルがいるんですか?
片岡 いるんです。僕らのスタイリストですね。今日撮っていただいた写真の衣装も手掛けてくれています。プライベートでも、自分が着てよかった服をメンバーにプレゼントしてくれるような人で。「最悪、メンバーが着なかったら自分が着る」みたいな気持ちで服を買っているみたいで、家に行ったらめちゃくちゃ服がいっぱいあったんです(笑)。そのあふれ出しすぎている愛情に対してどう答えていこうかなって考えたときに、僕らはミュージシャンなんで“音楽で返す”っていうのが最適解なのかなと。「IN THE FLIGHT」っていうのは、そのスタイリストの方がやっている会社の名前なんですよ(笑)。
――曲の中でも、会社名を連呼していますね(笑)。
黒田 うふふふふ(笑)。
片岡 だから、社歌ですよ(笑)。
――歌詞を見ると、相当仲がいいんだろうなというのが伝わります。
片岡 そうっすね、マイメンというか(笑)。自分はお姉ちゃんが2人いて末っ子なんですけど、お兄ちゃんが欲しかったっていう願望があって。だから「待望の兄貴爆誕」っていう。大人になってからお兄ちゃんできたな~! みたいな。楽しいですね、一緒にいて。
荒井 そのスタイリストさんを、我々はカリスマと呼んでいて。
――カリスマ! (笑)
片岡 ちなみに「カリスマって呼んで」って自分から言ってきたんですよ。僕たちが呼びたかったわけじゃない(笑)。最初に会ったときに、「なんて呼んだらいいですか?」って聞いたら、「俺西のカリスマやから、カリスマでええで!」って。“西の”がカットされちゃったから、とんでもなくでかい世界を背負っちゃった(笑)。
黒田 めちゃくちゃ面白い人なんです。イケメンだし。
片岡 メンバーにはないものをいっぱい持っている人ですね。だから憧れるというのもあります。
――メンバーにはないものって、例えばなんでしょう?
片岡 うーん……肉食性。
全員 わかるな~(笑)。
黒田 僕、女の子だったらめちゃくちゃ好きになってると思います(笑)。弱いとこもちゃんと見せてくれるし。
――モテそうな方ですね(笑)。カリスマに出会ってから、皆さんのファッションに変化はありましたか?
片岡 最初のほうに言われたのは、「似合う服を着るんじゃなくて、似合う自分になってくんだ」という……カリスマだな~!と思って(笑)。
黒田 カリスマだ~(笑)。
片岡 そのおかげで、ちょっと叩き上げられたところはありますね。やっぱりそうじゃなきゃ、こんなファーの帽子かぶれないですよ!(笑)
全員 あはははは(笑)。
――とても似合ってますよ!
小川 さすがに「似合ってます」としか言えないですよね、目の前にいるんだから(笑)。
荒井 僕も、カリスマに出会ってからよく帽子をかぶるようになりましたね。帽子って、難しいじゃないですか。でもカリスマが持ってきて、カリスマがかぶせてくれた帽子は「あ、たしかにこれはいいですね~」って思えて。で、「めっちゃいいですね、欲しいっすわ」って言うと、「あ、じゃああげるよー?」って。「え、マジで……?」みたいな感じでいくつか帽子をいただいてしまって(笑)。いい人どころか……ちょっと……。
片岡 請求されないほうが怖いですからね(笑)。そりゃ曲作りますよ! この曲は清算書です!(笑)
2023.03.14(火)
文=石橋果奈
撮影=深野未季
スタイリスト=加藤“runpe”将(IN THE FLIGHT inc.)
ヘアメイク=URI