「裏テーマは“東京八景”」初のソロアルバムを語る

 2000年にヴォーカルでソングライターの志村正彦を中心に結成されたフジファブリック。09年に志村が逝去したが、現在は、ヴォーカル/ギターの山内総一郎、キーボードの金澤ダイスケ、ベースの加藤慎一というメンバーで活動。耳の肥えたリスナーやミュージシャンからも尊敬される存在となった。

 そしてこの度、バンドが2024年にデビュー20周年を迎えるにあたってソロ作にチャレンジすることになった。その結果が、山内がよりヴォーカルに専念した初のソロ・アルバム『歌者 -utamono-』(以下、『歌者』)である。傑作をものにした山内に話を訊いた。

(2022年3月18日午前10時、記事のタイトル及び本文を修正しました)

――アルバム、聴かせて頂きました。『歌者』というタイトルが雄弁に音楽性を物語っていますね。

 『歌者』というタイトル通り、僕の音楽的ルーツとして大きい日本語の歌ものをかなり意識しましたね。具体的には、たま、槇原敬之、スピッツ、Mr. Children、ウルフルズ、奥田民生などを聴いてきたので、そういった音楽からの影響が出ていると思います。

――山内さんはフジファブリックでも歌っているわけですが、ソロは歌に集中する度合いが高い、ということですか?

 そうですね。フジファブリックでの制作は、バンド内のサウンドのバランスをどう取るかとか、アレンジをどうするかとか、プロデューサー的な視点も持ちながらアルバムを作っていて。でも、今回は歌だけに集中しようって最初から思っていました。できるだけシンプルで贅肉を削いだデモを、アレンジャーの皆さんにお渡しして、僕は歌に専念する形をとりましたね。

――他にバンドと異なるところは?

 『歌者』というアルバムには、はっきりとした物語性を持たせたかったんです。それで、歌詞が入っている8曲それぞれに物語をつけることにしました。プロットを書いて、歌詞に出てくる登場人物の性格や人柄や年齢、住んでいる場所とその間取りなどを全て書いて。だから、裏テーマは“東京八景”と言えるアルバムだと思います。

2022.03.17(木)
文=土佐有明
撮影=山元茂樹
ヘアメイク=田中佑哉
スタイリスト=伊藤省吾(sitor)