家族に聞かれるのが恥ずかしいから、クーラーのついていない真夏の暑い部屋に閉じこもって録音したのを今でも覚えています(笑)。
千尋役の合格に「宮崎駿監督の作品だよ!?」と事務所が大騒ぎ
――いまの柊さんの千尋のセリフが、映画のままで感動しています……。
柊 え、本当ですか? 嬉しい!
――オーディションのときに意識したことはありますか?
柊 特に意識したことはなかったですね。というのも、先ほども言ったようにオーディションの時点ではストーリーが全然わからなかったので。
わかっていたのは、千尋のお父さんとお母さんが豚になってしまったあとの「夢だ夢だ!! 覚めろ覚めろ!!」「あぁ、透けてる!!」というセリフくらい。それを参考に自分なりに演じたら、ありがたいことに合格をいただいた、という感じです。
――柊さん自身はジブリをあまり知らなくても、受かったときの周りの反応はすごかったのでは?
柊 実は、私だけじゃなくて母もエンタメ系の話題には疎いんですよ。だから受かったことを家族に報告しても「へえ、よかったね」という感じで。
でも、事務所では「ジブリだよ!? 宮崎駿監督の作品だよ!?」と大騒ぎをしていたので、その反応を見て少しずつ「すごいことなんだ」と実感しましたね。
アフレコでは朝から夜まで喋りっぱなし
――合格後、アフレコはどのように進んでいったのでしょう。
柊 アフレコ自体はトータルで1週間くらいで、映画を前半と後半にわけて録音しました。朝スタジオに入ってから夜までほぼ喋りっぱなしのときもありましたね。
アフレコ中はお茶を飲んだり、お昼を食べたりする休憩はありましたけど、待ち時間とかはほとんどなくて。合間に共演者と雑談する、みたいな時間もほぼなかったんですよ。私が一番セリフの多い役だったからかもしれませんけど。
――当時は中学1年生ですよね。慣れない環境で、しかも初挑戦の声優のお仕事をこなすのは大変ではなかったですか?
2023.01.22(日)
文=仲 奈々