磯辺 最初は仕掛けをどういう構造で再現すればいいのかが全然思いつかなくて。「コインを入れたらジャイアンがヌルヌルっと出てくるようにしたい」というイメージだけはあったので、それをとりあえず企画書にしました。機構の部分は付録のプロフェッショナルである設計者の方がいるので、そこに泣きつきました。

 実は最初は飛び出すのはジャイアンだけじゃなく女神さまつきで、吹き出しもありで考えていたんです。でも、それだと上に出てくる時に女神さまの部分が引っかかりやすくなってしまう。なので、そこは主役のジャイアンのみにしました。あとは、本当はきれいなジャイアンとふつうのジャイアンを交互に出したかったんですけど、それはさすがに構造上、複雑になりすぎるということでNGになりました。やっぱり作るのは子どもですから、あんまり複雑すぎるのはダメなんです。

企画提出から完成までは半年以上!

――完成まではどのくらいの期間がかかっているんですか?

磯辺 最初に企画書を出したのが6月ですね。どの付録もだいたい半年前からは作り始めています。他の号の付録も並行してやっているので、結構大変です(笑)。企画書を編集会議で出して、OKが出たら権利元と相談して許可をもらいます。そこもGOが出たら付録職人さんに試作を作ってもらい、前述したようにいろんな試行錯誤をして3回くらい作り直してもらいました。

 最初の試作機を「白ダミー」と言うんですけど、それが出た段階で主役の「きれいなジャイアン」の顔も色んなジャイアンを当て込んでみたんです。原作のイラストのコマを当ててみたり、藤子ミュージアムのジャイアンの写真を当ててみたり。最終的にはフィギュアの写真を使ったんですけど、上がってくる時に真正面で一番目線が来るのは「この子だな!」と思って。あとは子どもたちに見てもらって、反応の良いものを選びました。

 

2023.01.11(水)
文=山崎ダイ
撮影=平松市聖/文藝春秋