天皇陛下の即位後初の外国訪問は英国になる予定だった。エリザベス女王の招待を受け、2020年の春に皇后雅子さまとご一緒に訪問することになっていた。だが新型コロナウイルスの感染拡大で延期せざるを得なかった。

 そういった事情もあり、陛下の葬儀参列のご意思は堅かったが、雅子さまのご体調にはまだ不安があった。回復傾向であっても海外訪問までできるかは定かではない。ご公務の出席はまだ「陛下お一人」と発表されており、雅子さまは予定が近くなった時の定例会見でご同行されるか否かを発表するというスタンスが続いていた。宮内庁幹部も「完全快復までには至っていない」と話していた。

 女王の葬儀は9月19日。いちばんの問題は英国出発までに体調を整えられる時間が少ないことだった。雅子さまのご病気は、ご自身でお気持ちの準備をする必要がある。体調によっては長くかかることもあるため、これまでにもご出発までに整わない場合は欠席ということもあった。雅子さま自身、自信が持てないご様子で、予断を許さない状況だった。

ジャーナリストの友納尚子氏による寄稿「雅子さま 英国ご訪問で安堵の涙」は、「文藝春秋」2023年1月号および「文藝春秋 電子版」に掲載されている。

2023.01.10(火)
文=友納尚子