文藝春秋2023年2月号より、ジャーナリストの友納尚子氏による『雅子さま 英国ご訪問で安堵の涙』の一部を転載します。
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公務ができないもどかしさがストレスに
皇后雅子さまは11月13日、秋の地方公務をすべて終えられて、安堵なさっているご様子という。
「お部屋では、散策中に拾われた松ぼっくりやどんぐりを小さなお皿にセンス良く飾られ、お気持ちの余裕がうかがえました。ご家族で綺麗に生まれ変わった木の実をご覧になって、心温められているそうです」(皇室関係者)
皇室は年末から年明けにかけてお忙しい時期を迎える。雅子さまは、その前の束の間の時間を穏やかに過ごされているようだ。
2022(令和4)年は、天皇皇后両陛下にとって、いわば「再始動」の年だった。御代替わりの19年は、四大行幸啓と呼ばれる国民体育大会、全国植樹祭、国民文化祭、全国豊かな海づくり大会の地方公務にすべて参加されたが、翌年はコロナ禍で四大会が延期となった。21年には国体以外再開されたが、いずれもオンラインによるご出席だった。22年5月に、即位されて4年目を迎え、行幸啓へ臨まれることが期待された。
「4月の熊本県の第4回アジア・太平洋水サミットと6月に滋賀県で開催された第72回全国植樹祭への訪問は、ぎりぎりまで検討されたようですが、感染者数の増加などから、最終的にオンラインによるご参加となりました」(宮内記者)
国民の中には、公務へのお出掛けが減れば、雅子さまは休養できることから、ご体調の回復につながるのではないか、という見方もある。だが、皇后としての務めを果たしたいと願われている雅子さまにとって、公務ができないもどかしさもまたストレスになるという。実際にコロナ禍までは順調だったご体調は、「再び整いにくい状況」(医師団)になる時期もあった。
5月31日には、歴代皇后が受け継いできた皇居紅葉山御養蚕所での御給桑(ごきゅうそう、桑の葉を与えること)と上蔟(じょうぞく、熟蚕を蔟に移す作業)を予定し取材設定もされていたが、腰の痛みなどからご欠席となった。だが、翌6月1日に、紅葉山御養蚕所に陛下と愛子内親王殿下とご一緒に姿を見せられた。予定外のことで、取材は設定されなかった。
2023.01.10(火)
文=友納尚子