――私も出産の時、助産師さんに馬乗りになられてお腹に大きな青あざができました。

 

中山 仲間ですね(笑)。私の場合、出産後に赤ちゃんが泣かない事態にも見舞われて。事前に立てたバースプランでは夫がへその緒を切る予定でしたが、「すぐに処置しないといけないから」と産まれた直後に別室へ連れて行かれて、夫はハサミを持ったまま立ちつくしていました。

 迅速に処置していただいたので赤ちゃんは無事でしたが、いろいろなトラブルが同時にありすぎて、「イメージしていた感動の出産シーンと違う!」って思いましたね。

37歳で出産・子育てを経験するなかで“気づいたこと”

――大変な出産だったのですね。

中山 でも、妊娠・出産以上に大変だったのが子育て。37歳のときに子どもを産んで、「子育てってこんなに体力がいるのか」と痛感しました。赤ちゃんは想像以上に泣くし、寝ない。「子どもが欲しいなら、できるだけ体力のある若いうちに産んだほうがいい」とアドバイスをする人の気持ちが、この時にやっとわかった気がしました。

――それまでは、「早く産んだほうがいい」という声に対してどう思っていたのでしょう?

中山 妊娠するまでは、周りから「早く子どもを産まないと」って言われても、「私たち夫婦のタイミングがあるから」とあまり気にしないようにしていたんです。正直、「おせっかいだな」と思うこともありましたね。でも今は「私のことを心配してアドバイスをしてくれていたんだな」と思っています。

 37歳で高齢出産をして子育てをしているのが、正解かどうかはわかりません。もっと若いときに出産していたら、体力的には今より楽だったかもしれない。

 でも、子どもを介して知り合った人たちは、今だから出会えた人ばかり。同じ年の子どもを持つママ友ができたり、子ども自身も学校で新しい出会いがあったり。

 ちょっと出産のタイミングがずれていたら、きっと出会えていません。そう考えると、私のベストなタイミングは、やっぱり今だったんだろうな、と思います。

2022.12.26(月)
文=仲 奈々
撮影=石川啓次/文藝春秋