例えばミュージカルにチャレンジした時、共演者は宝塚や劇団四季の出身だったり、音大出身者だったりとすごい人ばかりでした。

 一方で、私は楽譜もまともに読めないような初心者で……。あたりまえですけど、全然周りについていけずに毎日悔しい思いをしていました。稽古でも毎日のように怒られるんだけど、怒られている理由もわからないんですよね。

「何度も言っているのに、どうしてラレンタンドするの!」と注意されても、ラレンタンドが何かわからない。業界用語がわからなかったのと同じですね。

 でも、思い切って周りの人に聞いてみると、「少しずつテンポを遅くするって意味だよ」と教えてくれて。この出来事以外にも、困ったことや悩んだことがあった時、周りの人に助けられることが何度もありました。

 

――芸能界で新しいチャレンジをすることに、不安はありませんでしたか?

中山 もちろん不安はありました。けど、「大変そうだな」と想像して諦めてしまうと、これから出合うかもしれない楽しいこと、大好きなことを逃してしまう可能性がある。チャンスが目の前にあるのなら、逃して後から「あのとき、ああすればよかった」と後悔するより、挑戦してみて「これは自分には向いていなかったな」って納得してから諦めるほうがいいと思うんです。

 やってみると想像以上に大変なことも多かったけど、約30年間芸能界にいて、チャレンジして後悔したことは一度もありません。楽しいことだけじゃなくて、大変なことも、苦しいことも、全部が私の引き出しになってくれましたね。

芸能界で新しくチャレンジしたいことは?

――今年、お子さんが小学校に入学され、これまでセーブしていたお仕事も少しずつ増やしていくかと思います。これから新しくチャレンジしたいことはありますか?

中山 これまで同様、いただいたお仕事に懸命に取り組むスタイルは変わりません。ただ、昔は目の前のことをこなすだけで精一杯だったけど、少しずつ時間を重ねていく中で見える範囲が広がってきたかなとは思います。

2022.12.26(月)
文=仲 奈々
撮影=石川啓次/文藝春秋