師走である。最近はアウトドアブームもあるのだろう、キッチンカーを街でよく見かけるようになった。丸の内のUrban Terrace、有楽町駅前にある東京国際フォーラムの地上広場、御茶ノ水ソラシティなどにもランチ時、キッチンカーが集合している。

 ところが、そんな集合施設とは無縁な東京都足立区の西新井大師近くの環七に、今年10月、ひっそりオープンしたキッチンカーのそば屋がある。その名は「そば処もののふ」。「もののふ」とは「武士、戦場で戦う武人」のことである。これは気になる。さっそく訪問してみることにした。

 北千住駅から東武伊勢崎線に乗り西新井駅で下車する。駅ホームにあるラーメン屋を横目にみながら東武大師線に乗り換え1駅で大師前駅に到着だ。ドーム型の屋根が特徴的な駅である。駅のすぐ南側には環七が走る。

 右手に西新井大師をみながら門前の商店街を歩き、西の方に進んでいき環七に合流してさらに西の方向へ。するとガソリンスタンドの先に何やら黒っぽいトラックが見えてきた。

「そば処もののふ」を発見!

 背丈の高い工事現場の塀の外側に黒いキッチンカーが停車している。壁にはお品書きが貼ってあり、4人掛けのテーブルと椅子が2セット置いてある。確かにここが「そば処もののふ」のようだ。

 

 到着は開店時間の午前11時過ぎ。すると車内から店主の野村哲哉さん(42歳)が開店準備に出てきて幟(のぼり)などを取り付けるところだった。

 天ぷらは何があるか聞くと「かき揚げとナス天が出来上がっていて他はまだこれから」というので、まずは「かき揚げそば」(570円)を注文することにした。

 すると野村店主は車内にある寸胴にそばを入れ温め始めた。天ぷらも車内で自家製している。もちろんつゆもかつお節、昆布、しいたけで出汁をとっているというから驚きだ。

「かき揚げそば」のつゆをひとくち

 ほどなくして「かき揚げそば」を野村店主がテーブルまで届けてくれた。

2022.12.14(水)
文=坂崎 仁紀