この記事の連載

 2023年の「G7サミット」の開催地に決まり、注目を集めている広島県。そこで今回は、広島の新たな名物になりそうなグルメや、まだまだ知らなかった歴史、絶景などをスポットごとに全6回に分けてご紹介します。

 第3回となる今回は、広島市民から「広電」の愛称で親しまれている路面電車に乗りながら飲食の楽しめるという観光電車「トラン・ルージュ」をご紹介。

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夜景とおいしい料理を堪能できる「トラン・ルージュ」

 貸し切りで広島県内の食材を活かした料理がいただけるという驚きの電車に、早速乗車して出発です!

 トラン・ルージュの出発地点は広島港駅。電車は市の中心部を走行し、西広島駅(西区)で折り返して、広島港駅まで戻ってくるルートになっています。

 ワクワクしながら待っていると、夕暮れの茜空を背に、トラン・ルージュがJR広島港駅(南区)の路面電車乗り場に入ってきました。

 一見、レトロに見える車両ですが、中に入ると黒を基調とした高級感のあるインテリアに心が弾みます。

 出発時間は街がネオンで彩られる夕暮れ時。午後5時ごろにJR広島港駅を出発し、八丁堀や立町など、広島市の繁華街を西へ進みます。車窓からはライトアップされた原爆ドームなども見ることができ、夜の広島の景色を満喫することができます。

 乗車してまもなく、お待ちかねのお食事タイム。プランやシーズンごとにメニューが変わるとのことで、今回乗車した際のメニューはこちらです。

 生ビールの飲み放題も楽しめるので、まずは生ビールでかんぱ~い!

 早速お料理をいただきます!

 見てください! 路面電車の中でいただく食事とは思えない豪華さです。

 二段重の中に美しく盛られているのは、瀬戸内の真鯛を1日かけて昆布締めにしたものや、芸北トマトといった広島野菜を使った野菜たっぷりの前菜。

 特に興味深かったのが、広島のブランド野菜「狩留家(かるが)なす」のジャムがはいった「クリームチーズと狩留家ナスジャムのグジェール」。

 狩留家なすというのは、広島県のブランド野菜のひとつで、皮が緑色のなすのこと。なすをジャムにしたものをグジェールと呼ばれるチーズを混ぜたシュー皮の中に入れた一品です。なすをジャムにするという発想がなかったので驚きました。

 もうひとつのお重には、広島名物カキフライや、大ぶりな「女鹿平(めがひら)マイタケ」のフリット、分葱のキッシュなどが入っていて、このお重だけでも満足!

 メインディッシュは「六穀豚(ろっこくとん)」を約2時間コトコト煮込んだ「瀬戸内六穀豚のトマト煮込み」。 トマトを使ったソースにも、肉のうまみが出ています。

 続いて、こちらも広島名物、穴子の押し寿司が運ばれてきました。

 ひと口サイズなので、こちらもペロリ!

 デザートの「サツマイモのクリームブリュレ」は、表面のキャラメリゼをその場で提供してくれるので、芳ばしい香りが車内に漂っていました。

 片道約50分、往復で約2時間かけて、電車は広島港駅へと戻ります。乗車する際に、通勤や通学で「広電」を待つ人たちと目が合うこともあるので少々気まずいのですが(苦笑)、車窓を眺めながら美味しい食事とお酒が味わうことができて、ちょっぴり「非日常」を体験することができました。

 現在はトラン・ルージュの一般運行を行っておらず、特別に相談があった時だけ、貸切運行を行っているそうです。詳細については「ひろでんトランルージュ事務局」まで。とっておきの時間を過ごすことができますよ。

ひろでんトランルージュ事務局

電話番号 082-222-2287(平日10:00~17:00)
https://trainrouge.com/top.shtml

2022.12.01(木)
文=根津香菜子