ラミヤ 義理の両親は私に何かを強制することはなかったんです。例えば、義理の父は「いま○○さんが来ていて、紹介したいからすぐに来て~」とか、いろいろな人に会わせてくれました。それは今でも変わりません。

 義理の母は「お茶会あるから、行く?」という感じで、自然に私が温泉、旅館、日本文化に触れる機会を与えてくれました。さりげなく私を楽しい空間に誘ってくれる。あくまでも押し付けずに、働き方やマナーを教えてくれました。結婚当初は有馬に外国人がほとんどいなかったけれど、地元の皆さんも優しかったですね。

――モロッコにいるご両親は、日本の温泉旅館に嫁ぐことを心配されませんでしたか?

ラミヤ 心配というより、両親は旅館がどのような場所か、イメージが湧かなかったと思います。唯一心配していたのは、私のキャリアが途切れることでした。むしろあの頃は両親よりも、日本人から「旅館に嫁いで大変じゃない?」と心配されていたかもしれない。

――現在のラミヤさんをモロッコにいるご家族はどう見ていますか。

ラミヤ 私の家族は、2度有馬温泉に来ています。1度目は父と母が滞在して、私も「御所坊」に泊まって、ご飯を食べて、一緒に過ごしました。実際に体験してみて、ようやく日本の伝統的な旅館のことを両親も理解できた。2人とも、とても安心していました。

 

「YOUは何しに日本へ?」に娘のミアちゃんが登場

――ラミヤさんは1児の母でもあります。先日放送された「YOUは何しに日本へ?」には一家の明るいムードメーカーとして娘のミアちゃんも登場していましたね。

ラミヤ はい、小学2年生になった娘のおかげで、私の出会いも広がっています。ミアを通して日本文化との出会いも。ちょっと話が逸れてしまうかもしれないのですが、それまでお蕎麦を美味しく感じたことのなかった私が、ミアを妊娠中にお蕎麦が大好きになって、お蕎麦ばかり食べていたんですよ(笑)。

――モロッコ出身のラミヤさんにとって、日本で子育てをすることへの迷いはありませんでしたか?

2022.11.13(日)
文=山崎まゆみ