――初めて来た日本の印象は?

ラミヤ 関西国際空港から、語学留学した大阪外国語大学(現・大阪大学)までの道のりはあまりに殺風景なビルばかりで。高速道路には無数の車が行き来し、「日本といえば」とイメージしていた四季折々の美しい風景が見えなくて、すごく落ち込んで泣いてしまいました。でも学校に到着すると、緑がたくさんあって、桜も綺麗に咲いていましたので、心が落ち着いたことをよく覚えています。

――日本では何を学んだのでしょうか?

ラミヤ 1999年に日本に来て、最初の1年は大阪で日本語を、その後、2000年から神戸大学工学部情報知能工学科でコンピューターやプログラミングを学びました。

 

日本人が言うことの「本当の意味」を理解するのは大変

――日本人との交流で苦労したことはありましたか。

ラミヤ 日本人は、向こうから話しかけてくれないですね(笑)。大学の工学部の学生107人中、女性は7人だけ。友達を作りたくてもなかなか作れなかった。一度、手紙を書いて学部の女の子に持っていったことがあります。

 やはり日本語も難しかったですね。日本人ははっきりとものを言わない。白とも黒とも言わない。その中で「本当の意味」を理解するのは大変でした。最初は日本語を自在に話すことができないので、しばらくは観察するんです。日本に来た時は、もう観察、観察、観察の日々でした。

――夫の金井一篤(かずしげ)さんは大学の同級生だったんですよね。

ラミヤ そうです。夫と出会ったのは大学でした。仲の良いグループの1人。大学の宿題やわからないことを教えてくれましたし、ノートを貸してくれたりして、とりわけ優しい人でした。大学1年生の夏休みに、有馬温泉のお祭りに誘ってくれて、私は日本の温泉や旅館を初めて体験しました。

温泉旅館の若旦那と結婚、義父母との関係は…

――歴史ある有馬温泉、その最古の温泉旅館の若旦那・一篤さんとの結婚で、義理のご両親をはじめとする、金井ファミリーとの関係性を築くことに苦労はありませんでしたか。

2022.11.13(日)
文=山崎まゆみ