ただ、この1年は、やっぱり孤独や複雑な感情もありました。「なんでそんな風に見られるんだろう」とか、「そうじゃないのに」って……。でもしょうがない、しょうがないですよね、自分で選んだ道ですから。

 

メディアの前から姿を消していた9カ月間、考え続けていたこと

――この1年間はある意味ブランクだったと思います。充電期間を経て新たな目標はできましたか?

水上:はい、“自由”でいたいと思うようになりました。

――“自由”ですか?

水上:はい。人は自由である。誰のものでもない。他者の自由を尊重した中で愛す、その中で考えを否定する、その中で共に生きていく――。たとえ血のつながった家族であっても、いつか僕が父親になる日がきたとしても、自分の子どもは自分の思い通りになるとは思ってはいけない。

 だからこそ、大切な人と過ごせる一瞬一瞬を大事にできるようになると思うんです。たとえば僕に彼女がいたとしましょう。そこで独占とか依存とか、あいつは俺のものだ、何でも俺の言うことを聞くみたいになるのはよくない、と改めて思うようになりました。

 それより、お互い自由に「今はたまたま一緒にいるよね」とか、「刹那をどれだけ大切にできるか」と考えながら、ともに過ごすのが大事だと思います。そう考えると、人が楽しく過ごせるのは自由であることが大前提なんじゃないかなって思うんです。

 他者を尊重する自由があれば、僕はちゃんと人と向き合える、愛を持って向き合えると思います。

――例えばどんな方がいらっしゃいますか? 憧れのオトナはいますか?

水上:『グループ魂』の方々のような大人になりたいんです。阿部サダヲさんとか、宮藤官九郎さんたちのバンドです。僕、『グループ魂』の曲を聞くと元気になるんです。まぁ、ここで言うには勇気がいる○○○とか×××とかスゴい歌詞なんですけど、キャリアを重ねた方々があんなに大声で叫んでも、不思議と下品に感じないんです(笑)。

2022.11.15(火)
文=松永 怜