イライラ感や睡眠の質低下など、病気とまではいえない不調を抱える人は、きっと少なくないはず。

 そんな心身の不調を「自律神経」の視点から見つめ、快適に過ごすヒントをお届けする第1回。

 すき間時間にできて、心も体も軽くなる「ツボ押し法」を、美容アナリストの奈部川貴子さんに教えて頂きました。

●教えてくれたのは……
奈部川貴子さん

美容アナリスト・鍼灸師。KAOYOMIサロン主宰。ジャーナリストとして美容の最前線で肌に関する知識を深め、その後リフレクソロジーの資格や鍼灸師の国家資格を取得。顔に存在する反射区に注目した「顔のリフレクソロジー」と「筋膜リリース」を融合した独自メソッドを提案している。
https://kaoyomi.jp/


顔のツボ刺激で、身体と心の不調にアプローチ

 「自律神経は、体温や血流などをコントロールして、私たちの体調や活動を支える重要な存在です」と、奈部川さん。忙しい現代人は、常に交感神経が優位に傾き、本来休息すべき時間帯でも活動モードが続きがちなのだとか。

「この影響で、不眠やイライラ感に悩む方も少なくありません。鍼灸などの“外から与える刺激”は、感覚神経を通して、自律神経にアプローチする1つの方法です。実は顔にも、足裏と同じく、身体の各臓器に対応するツボが沢山存在しているんですね」(奈部川さん)

 顔は脳から近く、解剖学的に重要な神経が張り巡らされているエリア。顔のツボを刺激することで、交感神経や副交感神経をあるべき状態へと導き、さらには全身に働きかける効果が期待できるといいます。

「今回は自律神経との関係が深く、リラックスや安眠に効果的なツボをご紹介します。仕事の合間など、すき間時間にできる簡単なテクニックなので、忙しい方にもぜひお試し頂けたらと思います」(奈部川さん)

【用意するもの】

・鏡
・綿棒
※写真では専用のスティックを使用していますが、自宅にあるものでツボ押しをする場合、 先端が丸くてやわらかい綿棒が最適です。

【ツボの押し方】

・ツボに対して垂直に綿棒をあて、5秒押して離します。この動作を3回繰り返して
・1日に3回程度、気になる時にプッシュ。1箇所のツボを20秒以上押したり、1日に何度も押すのは避けましょう

1:寝つきが悪い人に。良質な眠りへと誘う「額中(がくちゅう)」

 「眠り」に問題を抱える人におすすめなのが、額の中央にある「額中(がくちゅう)」です。位置は頭頂とあご先を結ぶ顔の中心線と、額の生え際から3分の2下と、眉間の中央から親指幅1本分上の線が交差するところ。

「顔のリフレクソロジーにおいては、自律神経のバランスを整えるツボとされており、なかなか寝つけなかったり、夜中に何度も起きたり、眠りが浅いなど、あらゆる眠りの問題に有効です。刺激すると、深く響くような感覚を抱けます」(奈部川さん)

2:緊張をほぐし、リラックスさせる「精神点(せいしんてん)」

 仕事や人間関係など、日々プレッシャーにさらされて、緊張感が抜けない人は「精神点(せいしんてん)」の刺激を試してみて。位置は黒目の外端から額に向けた垂直線上にあり、額を上下に2分する地点です。

「このツボは伝統的な鍼治療だけでなく、ベトナム式のリフレクソロジーやアーユルヴェーダでも用いられています。いずれもメンタルに働くツボですね。心身からすーっと力が抜けていくような、不思議な感覚を得られます」(奈部川さん)

3:目を酷使する現代人に「頭臨泣(あたまりんきゅう)」

 スマホやパソコンの影響で目を酷使している人に、ぜひ取り入れて欲しいのが「頭臨泣(あたまりんきゅう)」の刺激です。位置は黒目の真ん中から額に向かった垂直線上、前髪の生え際から小指幅1本分後ろの地点。

「目から入る刺激によって、自律神経のバランスが乱れている人が本当に多いんです。頭臨泣の刺激は、眼精疲労はもちろんのこと、心身の疲労感を解きほぐす働きも。頭痛が気になる方にもおすすめです」(奈部川さん)

2022.11.18(金)
文=宇野ナミコ
撮影=CREA編集部