〈『ドラゴン桜』監修者の実話〉成績底辺でいじめられっ子…人生に絶望する16歳の僕を東大に導いた“ある教師”の「とんでもないひと言」 から続く

 合格難易度の高さから「日本一頭のいい大学」と言われることの多い、東京大学。日曜劇場『ドラゴン桜』の脚本監修者で、累計40万部突破『東大読書』シリーズでも知られる現役東大生作家・西岡壱誠氏は、5年間の猛勉強の末にその難関を突破した。

 ここでは、西岡氏が偏差値35の“ド底辺”から合格発表を迎えるまでの実際の体験を綴ったドキュメント・ノベル『それでも僕は東大に合格したかった』(新潮社)より一部を抜粋。西岡氏が受験生時代に守り続けていた“3つのこと”を紹介する。(全2回の2回目/1回目から続く

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1、数字にこだわって勉強する

 僕はとにかく、1時間でも多く勉強することにした。点数を上げるとか、順位だの偏差値だのを上げるとか、そういうことはよくわからなかったからだ。

「とにかく僕は、めっちゃ勉強することにしよう」。そう決めて、学校の自習室に入り浸るようになった。朝早く来て勉強をして、授業を受けて、その後夜まで勉強する。学校に一番長く滞在するようにしようと決めた。

 でも、数字にこだわると言っても、何時間くらい勉強すればいいのかがわからない。これでは師匠の言ったことが達成できない気がする。

 なので僕は、ストップウォッチを買った。ストップウォッチで、自分が何時間くらい勉強しているのかを測ったのだ。自分が勉強している時はストップウォッチを押し、ちょっとサボったり休んだりしている時や眠い時はストップウォッチを切るようにした。

 そうすると、自分が思ったよりも勉強していないことに気付いた。例えば「3時間は勉強しているかな」と思って、サボっている時間を差っ引いたストップウォッチのタイムを確認すると、実は2時間くらいだったり、「休日は12時間はがっつり机に向かっているはず!」だったのに、ぼうっとしている時間が意外に長くて、たった9時間しか勉強していなかったり。

2022.10.29(土)
文=西岡壱誠