役のイメージをアップデート出来る俳優

『ガリレオ』で福山が演じるのは「実に面白い」「さっぱり分からない」といった耳に残るキラーフレーズと共に、すべての現象を科学的かつ論理的に検証し、埋もれていた真実を導き出す天才物理学者・湯川学。

 2007年に初めてテレビドラマ化された本作は、2013年に第2シーズンが放送。これまでにスペシャルドラマ2本、劇場版2本が制作され、『沈黙のパレード』公開翌日の9月17日(土)には9年ぶりの完全新作となるスペシャルドラマ『ガリレオ 禁断の魔術』(フジテレビ系列)が放送される。

 改めて『ガリレオ』第1シーズンの第1話を見返してみると、今の湯川と決定的に異なるのがその髪型である。今から15年前の作品ということもあり、この頃の湯川はファッショナブルで、ともするとやや軟派なイメージすらあった。

 

 しかし、劇場版最新作である『沈黙のパレード』では、年月を経て湯川は准教授から教授に昇格。演じる福山も年齢を重ね、相応の落ち着いた大人の雰囲気を身にまとい、重厚なストーリーにマッチしていた。SPA!のインタビューでも彼は「一つの役を長い期間演じられることは実験、研究、追求が出来て楽しい」と語っており、役のイメージをきちんとアップデートしていることがうかがえる。

 ちなみに、彼にとって初の映画主演作は、これもまた『ガリレオ』シリーズ初の劇場版となる『容疑者xの献身』(2008年)だった。『沈黙のパレード』は、福山と共演者、スタッフたちが築き上げてきた様式美の安定感と共に、シリーズの集大成とも言える仕上がりとなっている。

俳優・福山雅治が15年かけて実証した真実は

 役は歳を取らないが、俳優は年齢を重ねる。彼が47歳の時、映画『SCOOP!』(2016年)でこれまでのイメージを覆すような薄汚れた中年パパラッチに挑戦したように、50代に突入した福山雅治ならではの役柄がきっとあるはずだ。

2022.09.25(日)
文=中村裕一