2000年4月26日、ミュージシャンで俳優としても活躍する福山雅治(当時31歳)の15thシングル「桜坂」がリリースされた。いまからちょうど20年前のことだ。
この曲は、TBS系のバラエティ番組『ウンナンのホントコ!』の人気シリーズの第5弾「未来日記V スケッチブック」の主題歌として2000年3月から2カ月間、番組の印象的なシーンで流された。このシリーズは、1組の男女が毎回、これから起こるできごとを記した脚本を渡され、それに従って行動しながら物語をつくっていくというもの。
第5弾ではウッチャンナンチャンの南原清隆による脚本をもとに、台湾人女性と日本人男性が言葉の壁をスケッチブックを介して乗り越え、最後には結ばれる。男女が最後の場面で会う場所として選んだのが、2人の思い出の地であり、主題歌で歌われた東京都大田区にある桜坂だった。
「好きな子にね、正直な気持ちを打ち明けられなかった」
最終話では、福山が警官役でサプライズ出演し、桜坂で彼女を待つ青年にこんなふうに話しかけた。
《昔、俺、この近所に住んでて。ちょうど、何年くらいかなあ……2、3年住んでいたんだけど、結構いろいろ仕事とか忙しくて、好きな子とかにね、自分の正直な気持ちをちゃんと打ち明けられなかったことがあってね。また桜が咲くころにいつかここで会えたらいいななんて思って》
福山が桜坂の近くに住んでいたのは、現在も所属する芸能事務所アミューズのオーディションに合格し、1990年にシングル「追憶の雨の中」で歌手デビューを果たしたあと、俳優としてもTBS系「あしたがあるから」(1991年)でドラマに初出演したころだという(※1)。
2020.05.13(水)
文=近藤 正高