後藤 安定しています。短期入院はその後も何度か経験しましたが、今はすっかり日常が戻ってきました。もちろんずっと付き合っていく病気ですから、治療と検査は続けていきます。でも病気のことをすべて事務所に話したので、いいペースで仕事ができるよう調整してもらえています。頼れる人たちがいる環境は嬉しいですね。

 そうして、ゆっくりと、新しい私の出演作が放送されたり発売されたりし始めて、応援してくれていた皆がやっと安心してくれました。

 その流れで、2017年にはアニサマ(Animelo Summer Live/世界最大のアニメソングのライブイベント)に、SOS団(『涼宮ハルヒの憂鬱』の登場キャラクターたちで結成されたグループ)として「ハレ晴レユカイ」のパフォーマンスを打診されました。このときは、すぐOKを出しました。

――ブランクは気になりませんでしたか?

後藤 踊れる自信はまったくなかったけど、皆に、ぼちぼち大丈夫って姿を見せたかったんだと思います。

 メンバーの平野綾ちゃんと茅原実里ちゃんから「絶対助けるから!」「帰ってきてくれてありがとう!」と言われて、ステージに出る前から泣きそうになりました。本当にこの二人で良かったな、って。私たちがステージに現れたときの、ものすごい歓声は忘れられないです。「ただいま」って言えた気がしました。

――後藤さんが病気を公表する前は、むしろ健康でアクティブなイメージを抱いていたファンも多かったと思います。

後藤 そうですね、愛称が「ゴットゥーザ様」でしたから。イメージ、屈強ですよ(笑)。名付け親は、『涼宮ハルヒの憂鬱』で共演した杉田智和くんなんですけど。ある日、突然言われたんです。「良いのを思いつきました。ゴットゥーザ様でどうでしょう?」って(笑)。

――その「ゴットゥーザ様」というキャラクターが、『らき☆すた』という作品に登場しました。後藤さんご自身がモデルですが、特攻服を着てバイクを乗り回すキャラクターでしたね。世間的には、そのような「強い」パブリックイメージを持たれていましたが、実際にはご病気で苦しんでいらした。世間のイメージと実状のギャップに、悩んだりしませんでしたか?

2022.09.02(金)
文=加山 竜司