1990年の放送スタート以来根強い人気を誇る、国民的アニメ『ちびまる子ちゃん』。主人公・まる子の声を務める声優のTARAKOさんは、「まる子」と30年以上の付き合いとなる。そんなTARAKOさんが、まる子との関係や、2018年に急逝した原作者のさくらももこさんとの思い出、さらに全篇の朗読をTARAKOさんが担当し、今年4月に発売されたばかりのオーディオブック『もものかんづめ』(さくらももこ作)の制作舞台裏も語ってくれた。

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ふたりで会話していると、「どっちが喋ってるのかわからない」

──TARAKOさんが『ちびまる子ちゃん』のまる子役に抜擢されたのは、声優デビューから9年目の1990年。それからまる子とは30年以上の付き合いだと思いますが、あらためて、まる子役に抜擢されたときのことを教えていただけますか。

TARAKOさん(以下、TARAKO) それまで私、ずっとオーディションに落ちまくってたんです。『ちびまる子ちゃん』も受かると思って受けてなかったんで、決まったときは私も驚いたし、それ以上に事務所の人がびっくりしてました。マネージャーが深刻な顔で「いい? ちゃんと聞いて」って言うからなにかと思ったら、「受かりました」って。素に近い感じで喋ったら、結果的にそれがももこちゃんにそっくりだったみたいで、ももこちゃん本人が選んでくれたんです。

──TARAKOさんが最初にさくらさんにお会いしたのは、いつだったんでしょうか?

TARAKO たしかアニメの初回のアフレコにはいらっしゃったのかな。私のなかで印象に残ってるのはそのあとの食事会ですね。中華料理屋さんにスタッフみんな集まってお話ししたんですけど、ももこちゃんは、あんなシュールな話を描く方には全然見えなかった。ちっちゃくって、当時の旦那さんの隣でずっとニコニコしてました。かわいかったです。……うん、本当にかわいかった。ももこちゃんって、「あたしゃびっくりしたよ」って本当に言うんですよ。私も生で聞いたとき感動して、これがあの「あたしゃ」かって思いました。

2021.07.11(日)
文=生湯葉 シホ