金沢 僕はアイドルにはまったく興味なかったんです。父ちゃんが好きだったんですよ。

カレー屋を始めようとしていたら、電話が鳴り…

草彅 じゃあ、時代を象徴する存在としてあえて入れたんですね。

金沢 そうですね。僕はちっちゃい時から、お笑いが好きだったんです。タケちゃんマン(『オレたちひょうきん族』)の世代なので、たけしさん、さんまさんが大好きで、芸人さんに憧れていて。芸人になったのは23歳の時で、ワタナベエンターテインメントにお世話になって1年半ぐらい経った頃に、オーディションに受かって『あいのり』に出ることになったんです。

草彅 その話、前にちょっと聞きました。番組では「金ちゃん」ってモテない男の子だったんでしょ。

金沢 収録2日目で一緒にバス旅してる女の子を本当に好きになって、すぐフラれました。ただ1年ちょっと旅して日本に戻ったら、もともと僕は芸人なのに「なんで素人がお笑いを始めたの?」って感じになって、全くウケなくなっちゃったんですよ。

 完全に自信をなくして、事務所も辞めてカレー屋さんを始めようとしたんですね。で、浅草の合羽橋でカレー用の寸胴を見ていたら、電話が鳴って、事務所の先輩で面倒を見ていただいていたネプチューンのホリケンさんで。「『笑う犬の発見』ってコント番組が始まるから、構成作家として中に入ってみれば? 金ちゃんは書く才能があると俺は思ってるから」と。実はその日、別の人からもう1本、「和田アキ子さんのラジオの構成作家をやらないか?」という電話も入ったんです。

 

これからも一緒に何かを作っていきたい

草彅 一日に2本も!?

金沢 これはもうやってみろってことかなと思って、構成作家の仕事を始めたんです。それが26歳の時で、脚本を書くようになったのは03年に劇団を始めてから。「草彅剛」という俳優を好きになったのも、ちょうどその頃なんですよ。『僕の生きる道』(03年)から始まる「僕」シリーズが大好きで。いつか一緒に何かを作りたいという20年越しの夢を、今回叶えることができた。これからも一緒に作っていきたいって野望があるんです。

2022.08.12(金)
text=Daisuke Yoshida
photographs=Takuya Sugiyama
hair&make-up=Eisuke Arakawa
styling=Akino Kurosawa