官民の今後の取り組みに注目
経済的な負担が大きい不妊治療ですが、国の「特定不妊治療費助成」を活用すれば、体外受精と顕微授精に対して1回当たり15万円までの助成を受けることができます(計10回、初年度は3回まで、2年度以降2回まで、通算5年度、所得制限あり)。しかし、国の助成は高額な医療費の一部しか補うことができないうえに、今後は縮小方向にあります。厚生労働省の検討会は2013年7月29日、助成対象年齢を年齢制限なしから43歳未満に、助成回数を現行の最大10回(1年度あたり2回まで、通算5年)から期間設定なしの6回(40歳以上で治療を始めた人は3回まで)にするという意見をまとめています。
国の助成は縮小方向ですが、市区町村によっては独自の助成を行っているところがあります。たとえば、港区には「港区特定不妊治療費用助成」があり、最大で150万円の助成を受けることができます(年30万円まで、通算5年度、所得制限なし)。品川区の場合は「一般不妊治療費助成事業」があり、国の助成制度では対象外となっているタイミング法・薬物療法・人工授精など一般不妊治療の医療費を最大で50万円助成します(年10万円まで、通算5年度、所得制限なし)。すべての行政で独自の助成があるわけではありません。お住まいの市区町村のホームページや広報誌などで確認をしてみましょう。
また、民間企業でも不妊治療をサポートする商品が出てきています。たとえば、東京スター銀行の「スターワンバンクローン(不妊治療サポートタイプ)」という商品は、子どもを授かりたいと願う夫婦を応援するためのローン。利用限度額内の使い道は自由で、繰り返し利用ができます。また、不妊治療の費用を保証する保険が来年以降解禁されることが固まっています。
官民の今後の取り組みには注目したいところですが、ドラスティックな改革までには時間がかかりそうです。「いつかは子どもが欲しい」と考えている女性は、「いつ産むのか」という問題をライフプランの優先事項に置いて考えていきたいところです。
Column
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2013.10.13(日)
text:Yoko Hanawa
photograph:Fotolia