動物好きな人は人間が少し苦手だと思う

――本作では「猫は、人と違って素直である」など、各話のタイトルに「猫とは~」という言葉が出てきましたが、印象に残っている格言やセリフはありますか。

 「猫は嘘をつかない」という言葉が出てくるのですが、それは本当ですね。猫は嫌いなものは嫌い、好きなものは好きと素直だし、人間みたいに嘘はつかないです。

 猫同士も「これは俺の食べ物だ!」とか会話していると思うんです。だけど、人間が食事に行った時に「これ、最後の一つなんでどうぞ」「いやいや、そちらが~」みたいなやり取りはしないじゃないですか(笑)。

 これは個人的な意見ですけど、動物好きな人は人間が少し苦手だと思います。自分も人間より動物が好きなので、嘘がなく、ストレートな生き方をしている動物はいいなと思います。

――では、古川さんにとって「動物と生きること」はどんなことでしょうか。

 動物を飼うということは、死ぬまで面倒をみることになるので、今の自分の年齢くらいで飼い始めないと最後まで面倒をみられない可能性もあるわけじゃないですか。自分の人生プランの中で「動物を飼うのは今がいい」と考えたこともあります。動物は癒しを与えてくれるので、自分にとっては家族のような存在になっています。

――猫には人間では与えることのできない癒しがありますよね。

 まずモフモフですからね(笑)。猫はどれだけこっちが面倒をみても振り向いてくれないけどほっとけないし、たまに向こうから来てくれるから嬉しいみたいな。こちらからの一方的な愛情ですけど、そういうツンデレなところにすごく魅力があっていいなと思います。

――優斗がオーナーを務める「二星ハイツ」では、家庭環境やライフスタイルの違う人同士が一つ屋根の下で暮らしています。古川さんも高校生時代、留学先のアメリカで寮生活を送っていたそうですが、当時はどんな生活でしたか?

 自分の住んでいた寮は二人部屋で、「二星ハイツ」よりもはるかに多い人数が住んでいましたし、洗濯機などもシェアしていたので、プライバシーはほぼなかったです。それに、人間関係が複雑で上下関係が非常に厳しかったので、急速に敬語を覚えました。

 例えば、廊下で会った先輩にお辞儀をしないと「なんでお辞儀しないんだ」と言われましたし、食事はカフェテリアでみんな同じ時間に食べるんですけど、やっぱり高校生だから「誰と一緒に座る」とか「こっちに座ったら先輩がいるから」とか、ご飯を食べるだけでも大変で……。自分はもう寮生活は嫌ですね(苦笑)。

――そんな厳しい寮生活を経験された古川さんが思う、「共存」するために大切なこととは?

 放っておくこと。あとはこちらから必要以上に構わないことだと思います。映画のセリフでも出てくるのですが、近づきたいからといって構いすぎてはいけないんですよね。つかず離れずな距離感が、猫とも人とも共存するうえで大切なことだなと思います。

» 場面写真や古川雄輝さんのアザーカットを全てみる

古川雄輝 (ふるかわ・ゆうき)

1987年12月18日生まれ、東京都出身。7歳でカナダへ。中学卒業と共に、単身アメリカ・NYへ渡る。2009年、ミスター慶應コンテストでグランプリに輝き、翌年、キャンパスターH★50with メンズノンノにて審査員特別賞を受賞。同年8月役者デビュー。13年に主演を務めたドラマ『イタズラなKiss~Love in TOKYO』が中国で大ヒット。主な舞台出演作品は、『俺たちの明日』、『神の子どもたちはみな踊る after the quake』など。近年の主な出演作に、主演ドラマ『ねこ物件』、ドラマ『嫌われ監察官 音無一六』。

映画『劇場版 ねこ物件』

8月5日(金)より新宿ピカデリー他全国公開

古川雄輝、細田佳央太、上村海成、本田剛文、松大航也、金子隼也、山谷花純、長井 短、竜 雷太ほか 

監督・脚本:綾部真弥
制作・配給:AMGエンタテインメント
©2022「ねこ物件」製作委員会
https://neko-bukken-movie.com/

2022.08.04(木)
文=根津香菜子
撮影=榎本麻美